アントラサイクリン系抗癌剤とシクロホスファミドによる治療を受けた乳癌患者において、パロノセトロンは急性期も遅発期も高い制吐作用を示すことが、国内の3試験を統合解析して明らかになった。東海大学医学部附属病院の鈴木育宏氏らが、6月24、25日に札幌で開催された第18回日本乳癌学会学術総会で発表した。

 乳癌の治療に用いられているドキソルビシンとシクロホスファミドの併用(AC療法)と、エピルビシンとシクロホスファミドの併用(EC療法)は、催吐性が強いことが知られている。鈴木氏らは、化学療法による急性および遅発性の悪心・嘔吐に対する効果が報告されているパロノセトロンの3試験を統合解析して、AC療法あるいはEC療法を受けた乳癌患者における有効性を検討した。

 解析したのは、第2相用量反応試験と、パロノセトロンとグラニセトロンの有効性を比較した第3相比較試験(PROTECT)、そしてPROTECT試験に参加した患者におけるパロノセトロンの繰り返し投与による安全性を評価した第3相オープン試験の3つ。

 有効性の評価は、AC療法を行った76人とEC療法を行った190人で行われた。この結果、全例266人における急性期(0〜24時間)の嘔吐完全抑制率は70.7%、遅発期(24〜120時間)では61.3%、全期間(0〜120時間)では53.4%となった。AC療法では急性期80.3%、遅発期68.4%、全期間61.8%、EC療法ではそれぞれ66.8%、58.4%、50.0%だった。

 EC療法にはFEC療法も含まれており、EC療法のみの49人では急性期の嘔吐完全抑制率は81.6%、遅発期は63.3%、FEC療法の141人ではそれぞれ61.7%、56.7%だった。さらにエピルビシンの用量別(≦90mg/m2、>90mg/m2)でも、急性期、遅発期の嘔吐完全抑制率は50%以上だった。

 またパロノセトロンの繰り返し投与における嘔吐抑制効果は、サイクル4まで維持されることが確認された。

 副作用は474人で評価された。AC療法を行った161人ではパロノセトロンに起因する有害事象は36.6%、EC療法の313人では35.1%。グレード4の有害事象は見られなかった。AC療法ではグレード3の便秘が2人、EC療法でもグレード3の便秘が2人、グレード3のQTc延長が3人に認められたが、7人は回復または軽快した。鈴木氏はパロノセトロンの副作用について「AC療法とEC療法で大きな違いはなかった」とした。