HER2陰性進行・再発乳癌に対するカペシタビンシクロホスファミドの併用療法(XC療法)は、有効かつ安全に施行できることが、フェーズ2試験の最終報告から明らかになった。6月24、25日に札幌市で開催された第18回日本乳癌学会学術総会で、東邦大学医療センター大橋病院第3外科の岡本康氏が発表した。

 前臨床試験では、シクロホスファミドがカペシタビンの活性化酵素であるチミジンホスホリラーゼをアップレギュレートし、両剤の併用により相乗的な抗腫瘍効果が示されることが報告されている。また進行・再発乳癌に対し、カペシタビンの中間代謝物であるドキシフルリジンとシクロホスファミドの併用療法による優れた有用性も報告されている。

 さらにカペシタビンとシクロホスファミドはともに経口剤であること、両剤の副作用のプロファイルがオーバーラップしないこと、脱毛などの副作用が軽微であることなどは、併用療法の根拠となると考えられる。

 岡本氏らは、HER2陰性進行・再発乳癌に対するXC療法の有効性と安全性を評価するフェーズ2試験を実施しており、今回はその最終報告が行われた。主要評価項目は全奏効率(ORR)、副次的評価項目は無増悪生存期間(PFS)と安全性である。

 対象は、上記の乳癌で、転移性乳癌に対する前化学療法が1レジメン以内で、かつカペシタビンまたはドキシフルリジン+シクロホスファミドの併用療法の治療歴がない患者51人(年齢中央値61歳)。有効性解析は46人、安全性解析は51人について行われた。

 エストロゲンレセプター(ER)陽性は32人、プロゲステロンレセプター(PgR)陽性は29人だった。アントラサイクリンの治療歴があったのは46人中24人だった。

 投与スケジュールとして、カペシタビン1657mg/m2/日、シクロホスファミド65mg/m2/日を1日目から14日目に投与し、21日を1コースとした。原則として6サイクル投与し、病変増悪または新病変の発現が確認されるまで治療を継続することとした。

 46人の臨床効果は、完全奏効(CR)4人、部分奏効(PR)17人、6カ月を超える安定状態(LSD)6人、SD 11人であった。ORRは45.7%、臨床的有効率(CBR)は58.7%となった。

 ホルモン受容体別に臨床効果をみると、不明だった1人を除き、陽性例34人ではORR 44.1%、CBR 58.7%、陰性例11人ではORR 45.5%、CBR 54.5%であった。

 PFSの中央値は373日(12.3カ月、95%信頼区間 272-575日)であった。ホルモン受容体の発現状況別にPFSの中央値をみると、陽性例では373日、陰性例では402日(13.2カ月)。

 グレード3以上の血液毒性は、白血球減少13人(25.5%)、好中球減少8人(15.1%)、ヘモグロビン減少1人(2.0%)、ALP上昇1人(2.0%)。グレード3以上の非血液毒性は発現せず、手足症候群は27人に発現したが、グレード3以上のものはなかった。有害事象による投与中止は認められなかった。

 タキサン系薬剤を用いた海外の臨床試験と比較しても、本試験におけるXC療法の有効性は遜色のない成績であった。

 岡本氏は「XC療法は、luminal Aタイプの乳癌だけでなく、予後不良とされるトリプルネガティブ乳癌に対しても有望な治療法と考えられる」と話した。