閉経前の転移再発乳癌において、アロマターゼ阻害剤LH-RHアゴニストによる2次治療は70%の患者で腫瘍の増大を抑制し、約1年間の病勢制御が可能であることが確認された。癌研究会有明病院化学療法科の植弘奈津恵氏らが、6月24、25日に札幌で開催された第18回日本乳癌学会学術総会で発表した。

 閉経前ホルモン感受性転移再発乳癌において、ホルモン療法による1次治療としてタモキシフェンとLH-RHアゴニストが勧められているが、2次治療は確立していなかった。そこで植弘氏らは、2次治療としてのアロマターゼ阻害剤とLH-RHアゴニストの効果を調べた。

 対象は、2002年2月から2009年5月までにアロマターゼ阻害剤とLH-RHアゴニストによる治療を開始した閉経前ホルモン感受性の転移再発乳癌患者57人。平均年齢は41.2歳(29〜53歳)、うち再発例は51人、ステージ4が6人。転移部位は骨が35人、リンパ節が27人、軟部組織(胸壁・皮膚など)が11人、肺が10人、肝が9人、胸膜播種が7人、脳が1人だった。

 全員がER陽性またはPgR陽性で、全例がタモキシフェンあるいはトレミフェンによる治療を受けていた。また前治療として、アントラサイクリン系抗癌剤による治療を受けていた患者は全体で42人、タキサン系抗癌剤が28人、ビノレルビンが7人、カペシタビンやS-1は13人、トラスツズマブが1人だった。

 アロマターゼ阻害剤では、アナストロゾールが47人に、エキセメスタンが10人に投与され、LH-RHアゴニストではリュープロレリンが37人、ゴセレリンが18人、ゴセレリンからリュープロレリンに移行した患者が2人だった。

 治療効果は、完全奏効が4人、部分奏効が10人、病勢安定が29人で、長期の病勢安定は26人、病勢進行が14人、奏効率は24.6%だった。

 またクリニカルベネフィット率は70.2%、無増悪期間(TTP)中央値は11.6カ月で、これまでの報告とほぼ同等の結果だった。奏効が2〜3年続いた患者が7人、3〜5年が5人、5年以上が3人であり、26.3%の患者で2年以上の奏効が認められた。全生存期間中央値は61.8カ月だった。なお副作用のために治療を中断した患者は2人だった。

 これらのことから植弘氏は、「閉経前ホルモン感受性転移再発乳癌患者に対する2次ホルモン療法として、アロマターゼ阻害剤とLH-RHアゴニストによる治療は忍容性が高く、効果が期待できる」とした。