乳癌で化学療法を受けた患者へのアンケート調査の結果、化学療法による一時的な脱毛の後、持続的な髪質の変化を認めた患者は半数以上に上り、化学療法終了から2年以上が経過してもかつらを外せない患者も存在することがわかった。6月24、25日に札幌市で開催された第18回日本乳癌学会学術総会で、独立行政法人国立病院機構仙台医療センター乳腺外科の渡會有希子氏が発表した。

 脱毛は患者のQOLを大きく低下させる化学療法の副作用であるが、期間は限定的で、化学療法の終了に伴って回復すると考えられてきた。しかし、これまで化学療法による脱毛や髪室の変化に関する具体的なデータは示されていなかった。

 渡會氏らは、髪質の変化を認めることが多いという患者の声から、化学療法施行後の再発毛について基本的な実態を把握することを目的として、アンケート調査を行った。

 調査期間は2009年10月から2010年5月までとし、同院乳腺外科外来を受診し、過去に化学療法を受けた乳癌患者85人(女性83人、男性2人)を対象とした。化学療法終了時の平均年齢は51歳、化学療法施行後の期間の中央値は32カ月であった。

 施行した化学療法はFEC100(5-FU、エピルビシン、シクロホスファミド)+ドセタキセル、またはFEC100+パクリタキセルであった。FEC100では、5-FU 500mg/m2、エピルビシン100mg/m2、シクロホスファミド500mg/m2を3週毎に4サイクル投与していた。ドセタキセルは75mg/m2を3週毎に4サイクル、パクリタキセルは80mg/m2を週に一度、12サイクル投与していた。

 アンケート調査の項目は、髪質の変化(くせ毛になったか、くせ毛が改善したか)、髪の量や太さの変化、頭髪以外の髪質の変化、再発毛までの期間、かつら離脱までの期間の5項目とした。

 調査の結果、髪質の変化として「くせ毛になった」と答えたのは56人(66%)で、そのうち「今もくせ毛である」は29人(51%)だった。髪の量が「減った」と答えたのは50人(53%)、髪の太さが「細くなった」は63人(74%)であった。髪の量が増えた、または髪の太さが太くなったと答えたのは数%にすぎなかった。

 頭髪以外では、眉毛がすべて消失したのは56人(66%)、一部消失したのは23人(27%)だった。睫毛がすべて消失したのは58人(68%)、一部消失したのは17人(20%)だった。アートメイクをしたと答えた患者は38人(44.7%)に上った。

 58人(68%)に再発毛を認め、再発毛までの期間の中央値は3カ月、化学療法終了後からかつら離脱までの期間の中央値は8カ月だった。12カ月以内に54人(67%)がかつらから離脱したが、5人(6%)は観察期間中には離脱できなかった。そのうち2人(2.4%)は2年以上経過してもかつらを外すことができていなかった。かつらを外せなかった5人について検討したが、年齢、化学療法終了からの期間、化学療法、ホルモン療法との併用に相関性はみられなかった。

 渡會氏は「かつらを外せなくなる明らかな予測因子は認められなかった。今後も症例数を集めて検討する必要がある。患者には化学療法による脱毛に関して具体的な情報を提供すべき」と話した。