ASCO/CAPガイドラインの変更によって、HER2判定が変わる患者は少なく、実臨床への影響はそれほど大きくないことが確認された。しかしIHC法の2+、1+でも染色性がばらついている場合はFISH検査の追加を考慮したほうがよい可能性も明らかになった。岩手医科大学外科学講座の柏葉匡寛氏らが、6月24日から25日に札幌で開催されている第18回日本乳癌学会学術総会で発表した。

 American Society of Clinical Oncology (ASCO)とCAP(College of American Pathologists)は2007年にHER2判定基準を変更し、IHC法による陽性の基準を10%から30%に、FISH法におけるHER2/CEP17比を2.0から新基準では2.2とした。St. Gallenコンセンサスも2009年にASCO/CAPガイドラインに準ずることを明記。国内でもASCO/CAPガイドラインに準拠する方向になっている。

 柏葉氏らは、2001年6月から2004年6月に診断された原発乳癌140人を対象に、IHCとFISHの相関を再検討し、さらにASCO/CAPガイドラインの変更によってHER2判定が変わる患者の割合を調べた。IHCとFISHによるHER2判定はSRL社が行った。診断時の年齢中央値は53歳(29〜81歳)。

 FISHによるHER2陽性率(HER2/CEP17比>2.2)は140人中28人(20%)だった。IHCとFISHの相関を再検討したところ、IHC 3+とIHC 0ではFISHとの相関は高く、IHC法で3+だった20人中、FISHでもHER2陽性だったのは20人(100%)、IHC 0の35人中0人(0%)で、IHC 2+では6人中5人(83.3%)だった。IHC 1+では79人中、FISH陽性は3人(3.8%)で、「標本ではheterogeneousな染色性を示した」という。

 次に、FISHによるHER2陽性の28人のうち、IHCによる染色性が10〜30%だった患者は1人(3.6%)、30%を超えたのは27人(96.3%)だった。つまりASCO/CAPガイドラインの変更によって、全体の140人中1人(0.7%)は、旧基準ではIHCで陽性と判定されたが、新基準では陰性と判定されることになる。

 またIHC 1+だった1人の患者では、術後に化学療法のみを受けていたが、その後、再発しており、再発後にFISHで調べた結果、HER2陽性が確認されたという。これらのことから、「IHCで2+あるいは1+でもheterogeneityが強い場合、患者の許可が得られれば、FISHの追加検査も考慮したほうがいい」と柏葉氏は述べた。