米Northwestern University Robert H. Lurie Comprehensive Cancer CenterのVirginia Kaklamani氏は、乳癌を対象に、アルブミンにパクリタキセルを封入した注射薬の「アブラキサン」を分子標的薬と併用する臨床試験が米国で進んでいることを明らかにした。6月24、25日に札幌市で開催されている日本乳癌学会学術総会で発表した。

 Kalklamani氏は、アブラキサンとトラスツズマブ、アブラキサンとラパチニブ、アブラキサンとベバシズマブなどを併用する臨床試験が進んでいることを紹介した。さらに、HER2陽性乳癌患者にネオアジュバントとしてアブラキサンとラパチニブを併用投与したパイロット試験で、奏効率は82.8%になったことを示した。

 アブラキサンは米国では転移性の乳癌を対象に承認されている。パクリタキセルは水に溶けにくいためクレモフォール溶媒を使って溶解するが、この溶媒に対するアレルギーのために抗ヒスタミン薬やステロイドの前投与が必要になる。一方、アブラキサンは水溶性のため前投与を必要とせず、投与にかかる時間も短い。

 また、溶媒を用いたパクリタキセル投与に比べて、アブラキサンの方が奏効率が高く、TTP(増悪までの時間)をより延長し、転移性乳癌患者のセカンドラインとしての利用で生存期間をより延長することが確認されている。タキサン系抗癌剤抵抗性の乳癌にも有効性を示している。さらに、3週おきに投与する方法よりも、4週のうち3週は毎週投与し1週休薬する方が効果、安全性ともに優れるという。

 一方、副作用は溶媒を用いたパクリタキセルの場合と比べて、アブラキサンは49%も多く投与されているにも関わらず、グレード4の好中球減少症が有意に少ないことが明らかにされている。アブラキサンに生じるグレード3の感覚神経障害はすみやかに改善するという。

 アブラキサンは今秋に日本でも登場すると見込まれている。