腫瘍径1cm以下でリンパ節転移陰性でもHER2陽性乳癌はHER2陰性に比べて再発リスクが高く、腫瘍径5mm未満では再発はないが、5〜10mmの場合はトラスツズマブによる術後治療を検討すべきことがレトロスペクティブな解析で明らかになった。愛知県がんセンター中央病院乳腺科の堀尾章代氏らが、6月24、25日に札幌で開催された第18回日本乳癌学会学術総会で発表した。

 HER2陽性で、リンパ節転移陽性もしくは腫瘍径1cm以上では、トラスツズマブによる術後治療の有用性が臨床試験で示されている。しかしHER2陽性でも、リンパ節転移陰性で腫瘍径1cm以下の乳癌に対する効果は明らかではなかった。

 2003年4月から2007年12月に手術を行った腫瘍径1cm以下のリンパ節転移陰性の乳癌患者267人を対象とした。このうちHER2陽性が42人、HER2陰性が225人。観察期間中央値は4.3年。

 まずHER2陽性と陰性を比較したところ、HER2陽性で有意に無再発率が低く(p=0.031)、HER2陽性はHER2陰性に比べて再発リスクが高いことが示された。

 HER2陽性のうち、5mm未満群(23人)では再発は認められなかったが、5〜10mm群(19人)では再発は21%(4人)で、有意に5〜10mm群で無再発率は低かった(p=0.025)。

 なお5〜10mm群のうち術後化学療法を行わなかった9人では2人(22%)が再発し、術後化学療法を行った10人(うちトラスツズマブは3人)では2人(20%)が再発していた。術後化学療法の有無で無再発率に統計的な違いはなかったが、術後化学療法を行わなかった群で早期に再発する傾向があった。

 これらの結果から堀尾氏は、「腫瘍径5mm未満では再発はなかったが、5mm以上ではトラスツズマブを用いた術後治療を検討すべきである」とした。ただし「“5mm”は目安であり、年齢やホルモン感受性など他の要素も考慮しなければならない。5mm未満では術後治療が不要というわけではない」と話した。