抗癌剤投与の副作用として起こる口内炎(口腔粘膜炎)を防ぐには、胃炎や胃潰瘍の治療薬であるレバミピドが有効なようだ。7月3日から4日に東京で開催された第17回日本乳癌学会学術総会で、2施設が同様の報告を行った。

 一つは市立堺病院薬剤・技術部の阿南節子氏の発表。化学療法のFEC100(5FU+エピルビシン+シクロホスファミド、以下FEC)を受けた61人について分析したところ、レバミピドを投与しなかった49人のうち23人(46.9%)に口内炎が見られた。レバミピドを投与した12人の中で、口内炎のリスクが高いためレバミピドを予防的に投与した4人のうち口内炎を起こしたのは1人、FEC療法中に口内炎を起こしたため、次のサイクルからレバミピドを投与した8人では4人でグレードの低下が見られた。

 もう一つは、大阪医療センターからの発表。FECを受けた91人のうち43人(47.3%)に口内炎が見られた。FEC開始後からレバミピドを投与した28例に注目すると、25人(89.3%)にグレードの低下がみられた。そのうちグレード0になったのは17人(60.7%)。グレード0が最終クールまで続いたのは15人(53.6%)だった。

 予防投与の効果を見るために、同じ対象のうち、FEC開始前からレバミピドを投与した14人(予防投与群)とそれ以外の77人(非予防投与群)で比較すると、それぞれ5人(36%)と38人(49%)で口内炎を起こしたが、有意差はなかった。ただし予防投与群では、グレードも低い傾向にあった。

 現在、化学療法に伴う口内炎対策としては、含嗽薬を用いた治療が中心という。ただし「(薬剤が)苦い、(頻回使う必要があるのに)1回で十分と思ってしまったり、なかなか難しい部分もある」と演者である同センターの森岡亜希子氏は話した。

 抗癌剤を投与すると、口の中ばかりではなく、口から肛門に至る消化管全部の粘膜が脱水しやすくなり、口内炎のほか便秘や倦怠感を引き起こすことがある。今後は、両センターを含む多施設共同で、粘膜炎対策について臨床試験などを行う「乳癌Cinderella研究会」を立ち上げるという。