抗癌剤の副作用として見られる爪の変形や変色は、投与時の冷却グローブ使用によって予防できることが、多施設共同試験(KMBOG-0605)で確認された。7月3日から4日に東京で開催された第17回日本乳癌学会学術総会で、Kinki-Multidisciplinary Breast Oncology Group、大阪医療センター外科・乳腺外科の増田慎三氏が発表した。

 抗癌剤のドセタキセルを、3週間おきに60〜100mg/m2、4コース以上投与する予定の乳癌患者を対象に、ドセタキセル投与15分前から投与終了15分後までの90分間、冷却グローブの「Elasto-Gel frozen grove」を両手に装着してもらった。2006年3月から2007年3月までに70例(平均年齢の中央値52歳)が集まった(FG群)。

 これより以前に、冷却グローブを装着せずにドセタキセルの投与を受けた52例(平均年齢の中央値51歳)をコントロール群として、爪や皮膚の症状の有無などを比較した。

 爪の変化については、グレード1以上の症状がコントロール群で92%、FG群の治療後は41%だった。冷却グローブをはめていない足では、同65%、51%と差がなかったことから、冷却グローブ装着の有効性が確認された。ただし、色素沈着や落せつといった皮膚症状については、両群間で差がなかった。

 爪の変形や変色は重篤な症状とはいえないが、患者のQOL低下につながる。冷却グローブの装着でこれを防げるのは福音だが、1セット2万8000円(200〜400回は使用可能)という価格が普及のハードルになっている。診療報酬の対象外のため、全て医療機関の持ち出しになってしまうからだ。増田氏らは、ベンチャー企業と協力して商品の改良にも取り組んでおり「1万円を切るようにしたい」と話した。