来年保険収載が見込まれるセンチネルリンパ節生検。実施に際し、センチネルリンパ節の同定には色素法とラジオアイソトープ法の併用を原則とし、色素法単独の場合は習熟が必要である――。国立がんセンター中央病院乳腺外科の木下貴之氏が、7月3日から4日に東京で開催された第17回日本乳癌学会学術総会の特別企画「センチネルリンパ節生検をはじめるにあたって」で話した。また病理医の立場から埼玉県立がんセンター病理診断科の黒住昌史氏が転移診断法についてアドバイスした。

 センチネルリンパ節生検は、腋窩のリンパ節を切除するリンパ節郭清のかわりに、転移の可能性が高いセンチネルリンパ節だけを切除して、転移の有無を判断する生検。転移がないと判断された場合はリンパ節郭清が省略できる。

 腋窩リンパ節転移の有無は腫瘍径と関連しており、腫瘍径2cm以下では腋窩リンパ節転移の陰性率は約73%、3cm以下では約70%といわれている。そこで木下氏はセンチネルリンパ節生検を医師が始めるにあたって、「まずはリンパ節転移がないと考えられる患者で行い、経験を積んでから、リンパ節転移があるかもしれない患者に移行するほうが安全であろう」とアドバイスした。

 同定法には色素法とラジオアイソトープ法(RI法)があるが、それらを単独で行うよりも併用したほうが同定率は高く、木下氏は「併用法が理想」と勧めている。またトレーサーの注入部位は「色素は乳輪下に、RIは腫瘍直上の皮内と乳輪下」がよいという。

 ただし施設によっては色素法のみで行う場合もある。色素法は取り扱いが簡単で安価という利点があるが、「色素のインジゴカルミンでリンパ節は染まるが、リンパ管の染まりはわかりづらく、ICG(インドシアニングリーン)はさらに肉眼では同定が困難」という欠点もある。「安全に実施するには習熟が必要」と木下氏。また国立がんセンター中央病院では近赤外像観察カメラシステム(PDE)を導入しており、色素法単独の場合はこういった“工夫”も必要であるという。

 転移診断については、従来からの凍結標本などを用いた組織学的診断法に加え、最近はOSNA法やRT-PCR法といった分子生物学的な診断法も可能になってきた。黒住氏は「それぞれの転移診断法には利点と欠点があり、偽陰性が必ず生じることを前提に行うとともに、偽陰性をできるだけ拾い上げる方法を採用してほしい」と話した。