ビスホスフォネート製剤(BP製剤)のゾレドロン酸は乳癌骨転移に有効で、副作用の一つである顎骨壊死は、ゾレドロン酸投与前と投与中の口腔ケアで抑制できる――。7月3日から4日に東京で開催された第17回日本乳癌学会学術総会で、癌研究会有明病院化学療法科の高橋俊二氏らが報告した。

 ゾレドロン酸は、乳癌骨転移患者において骨折などの骨関連事象(骨合併症)の頻度をプラセボ投与に比べて39%抑制することが国内の臨床試験で報告されている。しかしBP製剤を長期服用している場合、抜歯などの歯科処置を行うと、顎骨壊死が起こり得ることも知られる。

 そこで高橋氏らは2006年5月から2008年12月までにゾレドロン酸を使用した患者を対象に、ゾレドロン酸の効果と副作用について解析した。解析対象は二つあり、一つは別のBP製剤であるパミドロン酸から、ゾレドロン酸が発売された2006年以降はゾレドロン酸に切り替えた患者52人。もう1つはゾレドロン酸のみを投与した174人。

 パミドロン酸からゾレドロン酸に切り替えた患者において、ゾレドロン酸5回投与後の骨吸収マーカーNTxは投与前に比べて低下し、血清クレアチニン値は増加していた。これは、「ゾレドロン酸はパミドロン酸に比べて、骨吸収をより抑制する傾向にあるが、軽度の腎障害をきたす可能性もある」(高橋氏)ことを意味する。

 一方、ゾレドロン酸投与のみの患者では、3カ月間の投与では投与前に比べて骨痛は減り、鎮痛薬の使用も減っていた。投与期間の平均値は13.49カ月(0〜37カ月)で、骨合併症は39人(22.4%)に見られたが、1995年から98年のBP製剤を使用していなかった時代の患者群(256人)と比較すると、骨合併症のない状態での生存率は有意に改善していることが示された(p<0.0001)。主な副作用は発熱が38人、関節痛・骨痛が18人、腎機能障害が3人で、「ゾレドロン酸投与によって骨合併症は減少し、有害事象は軽度だった」と高橋氏。

 また顎骨壊死は、パミドロン酸からゾレドロン酸に切り替えた患者では5人、ゾレドロン酸投与のみの患者では1人の計6人に見られ、このうち歯科がチェックしていなかった患者が5人だった。

 現在、癌研究会有明病院では、顎骨壊死を防ぐため、ゾレドロン酸を投与する際には、歯科を受診し、口腔ケアの指導や定期的なチェックを行っている。また投与中に顎骨壊死もしくは疑いありと診断されたときは、ゾレドロン酸投与を中止して、改善してから治療を再開する。

 「BP製剤では顎骨壊死がクローズアップされ、患者さんが怖がることもある。しかしBP製剤によって骨合併症は減りQOLも改善するので、積極的に使うべきである。そのためには歯科によるチェックをしっかり行ってほしい」と高橋氏は話した。なお、BP製剤投与中は顎骨に影響を与える歯科処置は避けるべきだが、歯肉のケアや歯のかぶせ物の補修程度なら大丈夫だろうという。