手術不能または再発乳癌患者に対するカペシタビンとシクロホスファミドの併用療法は、有効で安全であることがフェーズ2試験の中間報告で示された。7月3日から4日に東京で開催された第17回日本乳癌学会学術総会で、兵庫県立がんセンター乳腺外科の高尾信太郎氏が報告した。

 本試験の背景には、基礎試験においてシクロホスファミドが、カペシタビンの代謝産物ドキシフルリジンを5FUに変換する酵素、チミジンホスホリラーゼを増加させ、両剤の併用で相乗的な効果を発揮すると報告されたこと、進行・再発乳癌に対し、ドキシフルリジンとシクロホスファミドの併用療法による優れた有用性が報告されていることがある。

 カペシタビンとシクロホスファミドは両剤とも経口剤で、脱毛などの副作用が軽微だ。併用療法が有効なら、患者にとってメリットが大きい。

 そこで高尾氏らは、進行・再発乳癌に対するカペシタビンとシクロホスファミドの併用療法の有効性および安全性を評価するフェーズ2試験を行った。主要評価項目はRECIST基準で評価した奏効率、副次的評価項目は無増悪生存期間(PFS)および安全性とした。

 治療スケジュールとして、カペシタビン1657mg/m2/日およびシクロホスファミド65mg/m2/日を1日目から14日目に投与し、21日を1コースとした。原則として6コース投与する。
 
 患者選択基準には、RECIST基準に対応する測定可能病変を有すること、進行・再発乳癌に対して施行された化学療法が1レジメン以内であること、HER2陰性患者であることなどを含めた。

 現在登録中の49人の年齢中央値は61歳(32〜82歳)で、PS 0が38人を占める。エストロゲンレセプター(ER)、プロゲステロンレセプター(PgR)は約60%が陽性だった。転移部位は肝15人、肺12人、リンパ節10人など。補助化学療法は、アントラサイクリンが術前と術後で11人ずつ、タキサンがそれぞれ6人と11人。進行・再発に対する化学療法は、アントラサイクリン6人、タキサン3人。

 効果判定が可能だった35人中、完全奏効(CR)4人、部分奏効(PR)12人で、奏効率は45.7%と良好な成績であった。6カ月以上の安定状態(SD)であるLSDを加えたクリニカルベネフィット率(CBR)は54.2%。また、PFSの中央値は373日(95%信頼区間:178-474)で、長い有効期間が示された。

 グレード3以上の有害事象は、白血球減少11人(22.4%)、好中球減少5人(10.2%)、ヘモグロビン減少1人(2.0%)。カペシタビンの継続投与で最も問題となる手足症候群は24人(49.0%)に認められたが、グレード3の発現はなかった。
 
 投与コース数の中央値は7コースで、現在23人が継続中。6コースの完遂率は61.2%。本試験では、副作用による治療中止例は発生していない。

 患者背景が異なるため単純な比較はできないが、カペシタビン単独療法と比較して、カペシタビンとシクロホスファミドの併用療法は奏効率、PFSともに上回る成績となり、またアントラサイクリン既治療例に対する治療成績もドセタキセルやパクリタキセルなどと比較して遜色のない成績だった。

 本試験はさらにフォローアップを続け、最終報告が行われる予定。