HER2陽性の進行・再発乳癌で、トラスツズマブ治療後、ラパチニブによる治療を行い、その後さらにトラスツズマブを投与したところ、患者のおよそ4割に臨床効果が見られた。7月3日から4日に東京で開催された第17回日本乳癌学会学術総会で、愛知県がんセンター中央病院乳腺科の林裕倫氏が報告した。

 HER2陽性の手術不能または再発乳癌の治療には、抗HER2モノクローナル抗体製剤のトラスツズマブが使われる。さらに今年6月からは、分子標的薬のラパチニブも経口5FU系抗癌剤のカペシタビンとの併用で二次治療以降に使用可能となっている(関連記事参照)。

 対象は、トラスツズマブとタキサン系抗癌剤のパクリタキセルを週1回使用した後、病勢進行(PD)となり、ラパチニブを単剤投与した患者8人(ラパチニブ単剤群)とラパチニブとカペシタビンを併用した患者5人(ラパチニブとカペシタビン併用群)。この13人に、さらにトラスツズマブを併用する試験を行った。

 その結果、ラパチニブ単剤群では、部分奏効(PR)が1人、長期の病勢安定(長期SD)が4人、PDが3人、ラパチニブとカペシタビン併用群では病勢安定(SD)が2人、PDが3人で、クリニカルベネフィット(PR+長期SD)は38.7%となった。 PRおよび長期SD患者の無増悪生存期間は6カ月から23カ月だった。

 これらの結果から林氏は「ラパチニブ使用後のトラスツズマブ再投与の有効性が示唆された」とした。ラパチニブ治療後の選択肢の一つとして、再度トラスツズマブを投与できる可能性が示されたといえる。