ビスホスフォネート製剤のゾレドロン酸は、乳癌骨転移症例の骨関連事象(skeletal-related event: SRE)の発生を減らし、SRE発現までの期間を延長させる傾向にあることが、レトロスペクティブな検討で示された。7月3日から4日に東京で開催された第17回日本乳癌学会学術総会で、群馬大学臓器病態外科学の長岡りん氏が報告した。

 解析の対象としたのは、2003年から2008年に群馬大学病院外科で治療を行った乳がん骨転移症例93人。ゾレドロン酸を投与した52人(年齢中央値55.0歳)と投与しなかった41人(同52.1歳)に分け、SRE(病的骨折、脊髄圧迫、骨合併症に対する放射線治療、骨合併症に対する手術、高カルシウム血症)の頻度と発生までの期間を検討した。

 ゾレドロン酸の投与が2006年からであったため、観察期間中央値は投与群13.3カ月、非投与群35.0カ月となった。治療時に、すでにSREを有していたのは、投与群17人(33%)、非投与群9人(20%)。ゾレドロン酸投与群で、骨転移の初発から投与を行ったのは27人(52%)だった。

 総SRE発現率は、投与群19.2%、非投与群46.3%。SREが2回以上反復したのは、投与群で10人中1人、非投与群で19人中6人(31%)だった。

 個々のSRE発現率をみると、投与群では、放射線治療10人(19%)、脊髄圧迫4人(8%)、骨折1人(2%)の順だった。非投与群では、放射線治療17人(42%)、脊髄圧迫8人(20%)、骨折4人(10%)、手術3人(7%)、高カルシウム血症3人(7%)。長岡氏は「ゾレドロン酸投与群では、すべてのSREにおいて非投与群よりも発生頻度およびSREの反復する割合が低かった」と話した。

 骨転移進行までの期間及び病勢進行までの期間の中央値は、観察期間が異なることから、差は認められなかったが、「SRE初発までの期間は、投与群と非投与群で有意差はなかったが、投与群で延長する傾向が認められた」(長岡氏)。