胆道癌の病理学的診断の際、擦過細胞診に胆汁細胞診を併用することで癌陽性率が向上することが報告された。胆汁細胞診は内視鏡的逆行性胆管造影(ERC)を実施する際に行えることから、低侵襲で診断率を高められると期待される。9月19日から浦安市で開催された第49回日本胆道学会学術集会で、伊勢崎市民病院内科の伊島正志氏が発表した。

 胆道癌は、胆道閉塞を合併することが多く、ERCが必要となることが多い。

 同院では、胆道癌を病理学的診断する際、ERC施行時の胆管擦過細胞診だけでなく、胆汁細胞診を併用している。胆汁細胞診は、ERCの一連の手技中に、内視鏡的経鼻胆道ドレナージ(ENBD)チューブを留置し、胆汁を数日間採取する。

 今回伊島氏は、胆道癌(肝内胆管癌を含む)患者を対象に胆管擦過細胞診のみを実施した場合と、胆管擦過細胞診に胆汁細胞診を併用した場合の癌陽性率を比較した。

 対象は、同院を受診した過去4年間の胆道癌患者103人。同院では、2009年4月〜2011年3月は胆管擦過細胞診のみを実施していたが、2011年4月以降は胆管擦過細胞診に胆汁細胞診を併用している。いずれかの細胞診で癌疑いまたは癌の判定を癌陽性とし、手術検体の病理組織学的所見あるいは画像を中心とした臨床経過から癌陽性率の正誤性を確認した。

 患者の年齢中央値は72歳(範囲48〜88歳)、男性62人女性41人。胆道狭窄部位は肝外:肝門部:肝内=49人:40人:14人、胆汁採取のべ回数は1回:2回:3回:4回:5回=59人:48人:21人:6人:3人だった。

 擦過細胞診単独群(44人)の癌陽性率は72.7%だったのに対し、擦過細胞診+胆汁細胞診併用群(59人)は98.3%と上昇した。部位別の癌陽性率を見ると、擦過細胞診単独群においては肝外:肝門部:肝内=78.3%:80.0%:33.3%、擦過細胞診+胆汁細胞診併用群においてはそれぞれ100%:96.0%:100%となり、いずれの部位においても診断率が上昇した。

 次に、ENBDチューブから胆汁細胞診を実施した59例を対象に、胆汁採取回数毎の陽性率を比較した。その結果、累積陽性率は採取回数1回が55.9%、2回が81.4%、3回が91.5%、4回が91.5%、5回が93.2%だった。伊島氏は、「特に3回目まで胆汁採取を行うことで癌陽性率が向上した。4回目以上で癌陽性となる症例もあるため、画像上癌が疑われる場合などは採取回数を増やすことも有用」と語った。

 これらの結果から伊島氏は、「胆管癌の病理学的診断として、胆管擦過細胞診に胆汁細胞診を併用する方法は、ERC関連手技中に施行できる上に、診断率向上につながり有用である」と語った。また、生検の併用については「組織採取時の乳頭への刺激によって膵炎リスクが高まるため、生検の併用は今のところ検討していない」としている。

 また、今回は手術検体のない(手術未実施)患者の癌陽性率は、画像上の所見で正誤性を検討したが、今後は手術検討のある症例に限って、癌陽性率を検討したいとしている。