胆道癌、特に肝内胆管癌において、ゲムシタビンによる術後補助化学療法が有用である可能性が示唆された。また、FDG-PETでリンパ節陽性症例の切除成績は不良であることも示された。9月19日から千葉県浦安市で開催された第49回日本胆道学会学術集会で、京都大学肝胆膵・移植外科の波多野悦朗氏が発表した。

 胆道癌の切除成績は不十分であるため、術前術後補助化学療法が期待されているものの、その適応と意義は明らかになっていない。

 そのため波多野氏らは、ゲムシタビンによる術後補助化学療法の意義、ならびにFDG-PETを用いた術前化学療法の適応を明らかにすることを目的として、レトロスペクテイブな検討を行った。

 ゲムシタビンによる術後補助化学療法の検討では、2001年6月から2010年8月までに胆道癌切除を行った273人中、R0が得られた211人からゲムシタビン以外の補助化学療法を行った10人と在院死の3人を除外した198人を対象とした。

 ゲムシタビンによる術後補助化学療法は、全身状態が安定したII期以上の患者に提示し、同意が得られた患者を対象とした。葉切除以上の肝切除を施行した症例にはゲムシタビン800mg/m2を2週毎、その他の症例にはゲムシタビン1000mg/m2を3週投与1週休薬として、術後3カ月以内に開始し、6カ月間施行した。

 198人中、40人にゲムシタビンによる術後補助化学療法を施行した(ゲムシタビン群)。ゲムシタビン群は、術後補助化学療法を行わなかった群(非ゲムシタビン群)と比べて、若年で進行度が高かった(いずれもp<0.01)。1年生存率と3年生存率は、ゲムシタビン群で97.5%と68.0%、非ゲムシタビン群で87.1%と68.7%で差はなかったが、propensity scoreによる分析では、ハザード比0.47(95%信頼区間:0.23-0.95、p=0.04)となり、ゲムシタビン群で有効な結果だった。

 サブグループ解析では、リンパ節陽性(ハザード比0.19、95%信頼区間:0.07-0.58)、III期(同0.11、0.02-0.50)、肝内胆管癌(同0.09、0.01-0.67)、低分化型(同0.16、0.03-0.85)が有意だった。

 FDG-PETを用いた術前化学療法の適応の検討では、2002年2月から2005年1月までに肝内胆管癌で術前FDG-PETを施行した35人中、手術適応とされ、肝切除を施行した腫瘤形成型肝内胆管癌の27人を対象とした。

 全生存率と無再発生存率(DFS)の予後因子についての多変量解析では、FDG-PETのstandardized uptake value(SUV)が再発予測因子として抽出され(リスク比1.3[95%信頼区間:1.03-1.57]、p=0.03)、SUVが高い症例は予後不良だった。

 さらに、2003年4月から2008年3月までに肝外胆管癌で外科切除を施行した48人では、多変量解析で神経周囲浸潤、病理学的リンパ節転移陽性、FDG-PETリンパ節転移陽性が予後因子として抽出された。特にFDG-PETリンパ節転移については、陽性例の生存期間中央値は5.6カ月、陰性例は31.7カ月となり、大きな差を認めた(p=0.0177)。

 いずれの検討においても、リンパ節転移診断におけるFDG-PETの特異度は100%だった。これらの結果から、波多野氏は「形態画像であるCTとMRIに代謝画像であるFDG-PETを追加することにより、より正確にリンパ節転移を診断できる」と話した。

 波多野氏らは、リンパ節転移診断において特異度の高いFDG-PETを症例選択に用いた、ゲムシタビン+シスプラチン+S-1併用術前化学療法(GCS療法)の安全性と有用性を評価するフェーズ2試験(KHBO1201)を開始している。