切除不能局所進行胆道癌に対し、ゲムシタビン単独療法またはゲムシタビンとシスプラチンの併用療法(GC療法)によるdown-sizing chemotherapyを行うことで、根治切除が可能となる症例があり、長期の予後も期待できることがわかった。9月20日から東京都で開催された第48回日本胆道学会学術集会で、千葉大学大学院医学研究院臓器制御外科学の加藤厚氏が発表した。

 胆道癌では外科切除が唯一の根治的治療法であり、治癒切除を目指した集学的治療戦略が重要である。近年、ゲムシタビンをはじめとする有効な化学療法剤が登場し、腫瘍が縮小する症例も認められるようになった。切除不能な胆道癌症例でも切除可能な症例が得られており、手術手技の向上や周術期管理の進歩による手術適応の拡大の中で、化学療法も重要な役割を果たしていると考えられる。

 同科では2004年からゲムシタビンを用いた化学療法を導入している。加藤氏らは、切除不能局所進行胆道癌患者に対するdown-sizing chemotherapyの有効性を評価した。

 対象は、遠隔転移を認めない切除不能局所進行胆道癌患者。ゲムシタビン単独療法では、ゲムシタビン1000mg/m2を3週連続投与し、4週目は休薬とした。2サイクル毎にCTで手術の適否について検討した。

 切除不能の定義は、再建不能な肝動脈浸潤、門脈浸潤、肝静脈浸潤、根治切除不能な広範胆管浸潤、門脈塞栓術を行っても切除予定残肝容量が不足する症例とした。

 2004年から2010年までの胆道癌患者391人中、ゲムシタビンを用いてdown-sizing chemotherapyが行われたのは計22人(年齢中央値65.3歳、男性12人)で、内訳は肝内胆管癌7人、肝外胆管癌8人、胆嚢癌7人だった。切除不能理由(重複例を含む)は、広範血管浸潤が18人、広範胆管浸潤が2人、予定残肝容量不足が5人だった。RECISTによる腫瘍評価では、部分奏効(PR)が3人(14%)、安定状態(SD)が11人(50%)だった。

 22人中、腫瘍の縮小を認めたのは9人(41%)で、このうち8人(肝内胆管癌4人、胆嚢癌4人)が根治切除を受けた。切除症例における根治度は、R0が4人、R1が4人で、全例で肉眼的治癒切除が可能だった。
 
 現時点で5年と4年8カ月の長期生存が各1人に得られており、同時期に行われた根治手術症例と比較しても遜色のない成績が得られている。
 
 2011年9月からは切除不能局所進行胆道癌患者にGC療法を導入し、ゲムシタビン1000mg/m2とシスプラチン25mg/m2を2週連続投与し、3週目は休薬とした。3サイクル毎にCTで手術の適否について検討した。
 
 GC療法によるdown-sizing chemotherapyが行われたのは16人で、このうち現時点において4人(肝内胆管癌1人、胆嚢癌3人)が根治切除を受けた。切除症例における根治度は、R0が2人、R1が2人だった。
 
 加藤氏が提示した症例のうち、1人は十二指腸浸潤、膵浸潤を有する巨大な胆嚢癌で、肝動脈浸潤、門脈浸潤も認めた60代前半の女性患者だった。この患者ではGC療法が著効し、CA19-9も600000 U/mLから劇的に改善した。その結果、肝右三区域切除+十二指腸球部切除+大腸部分切除が可能となった。現在も外来で化学療法を継続中であるという。
 
 加藤氏は「切除不能局所進行胆道癌に対し、術前化学療法を併用した積極的な切除により、手術適応の拡大と長期生存を目指した集学的治療に取り組んでいる」と結んだ。