膵・胆管合流異常膵液胆道逆流現象により胆道癌を高率に発症することが示された。また、膵胆管高位合流は合流異常と同様に膵液胆道逆流現象が起きるものの正常と合流異常の中間の病態を示し、合流異常とは別に扱うべきであることが示された。9月20日から東京で開催された第48回日本胆道学会総会で、東京都立駒込病院消化器内科の原精一氏が発表した。

 膵・胆管合流異常は、膵管と胆管が十二指腸壁外で合流する先天性の奇形で、東洋人および女性に多く、先天性胆道拡張症と胆管非拡張型の2つに分類される。合流異常例では、膵胆管合流部が十二指腸壁外に存在するためOddi括約筋の作用が及ばず、そのため、膵液と胆汁の相互逆流が起き、胆石症や胆道癌、膵炎を誘発することが知られている。診断方法は、胆汁中の膵酵素(アミラーゼ)の高値や腹膵管造影による胆管の抽出などで行われる。

 一方、合流異常が認められない症例においても比較的長い共通管を有する場合には逆流現象が生じる。原氏らは、共通管長が6mm以上で膵胆管合流部にOddi括約筋作用が及ぶ症例を膵胆管高位合流として、これまで胆道癌との関連について研究を行ってきた。

 今回、原氏らは、膵・胆管合流異常109例(先天性胆道拡張症53例、胆管非拡張型56例)と、6mm以上の共通管を有する膵胆管高位合流95例を対象に、それぞれの胆道癌発症の臨床像について検討した。

 その結果、合流異常は男性に比べて女性が約3倍多かったのに対し、高位合流では男女差は認められなかった。また、高位合流では診断時年齢が平均64.2歳と、膵・胆管合流異常が48〜57歳時に診断されているのと比べて高齢だった。共通管の長さは、高位合流では平均7.9mm、合流異常のうち胆管非拡張型では23.9mmで、胆管非拡張型では共通管の拡張や膵管分枝癒合も認められた。

 胆管非拡張型合流異常ならびに高位合流では、ともに胆汁膵管逆流現象(それぞれ100%、86%)、および膵液胆道逆流現象を示す胆汁アミラーゼ値上昇(それぞれ100%、81%)が高率で認められた。なお、高位合流の胆汁アミラーゼ平均値は胆管非拡張型より低かった(胆管非拡張型255950 IU/L、高位合流19450 IU/L)。

 胆道癌の合併頻度を検討した結果、膵・胆管合流異常109例中58例(胆嚢癌49例、胆管癌9例)と58%に認められた。109例のうち先天性胆道拡張症は53例で、胆嚢癌は21%(11例)、胆管癌17%(9例)に認められた。膵・胆管合流異常のうち胆管非拡張型(56例)では胆嚢癌が68%(38例)に認められたが、胆管癌は認められなかった。先天性胆道拡張症において、胆管最大径が20mm以下では胆管癌の合併はみられなかった。

 これに対し、高位合流例での胆道癌合併は95例中11例(12%)で、こちらも胆管癌の合併はなく全例が胆嚢癌だった。

 高位合流および胆管非拡張型合流異常と通常の胆嚢癌における臨床像を比較した場合、通常胆嚢癌では結石保有率が63%だったのに対し、高位逆流では18%、胆管非拡張型合流異常では5%と顕著に少ないことが示された。
 
 さらに原氏らは、高位合流20例と非拡張型合流異常15例、胆石症10例での非癌部の胆嚢粘膜における粘膜長、過形成変化出現率、Ki-67、K-ras遺伝子変異について比較した。

 高位合流例ならびに非拡張合流異常例では、胆石症に比べて粘膜長が有意に長く(それぞれ0.46mm、0.63mm、0.3mm)、過形成性変化も有意に多かった(それぞれ45%、73%、0%)。また、高位合流例ならびに非拡張型合流異常例ではKi-67発現が有意に高く(それぞれ9%、8.1%、1.4%)、高位合流例、胆管非拡張型合流異常例ともおよそ3割でK-ras遺伝子変異が認められたが、胆石症では認められなかった。

 原氏らは、膵・胆管合流異常例では恒常的に膵液胆道逆流現象が起きており、53%以上に胆道癌合併が生じたこと、およびその特徴も通常胆道癌と異なることが示唆されると述べた。

 また、高位合流例では、膵・胆管合流異常と類似の病態が起きているとした上で、胆道癌発症は低率(12%)であり、胆汁中アミラーゼ値が低いなどの特徴を有することから、「膵胆管高位合流例は、正常と膵・胆管合流異常との中間の病態であり、合流異常とは別個に扱うべき」と原氏は結んだ。