胆道癌根治手術は侵襲が大きいため、集学的治療により予後が改善する可能性があっても補助療法は敬遠される傾向にある。ゲムシタビンまたはS-1による術後補助化学療法はエビデンスが確立していないが、今回、切除可能症例に対する化学療法の現状の検討から、一定の実現可能性が示された。9月20日から東京都で開催された第48回日本胆道学会学術集会で、東北大学病院肝胆膵外科(東北大学大学院統合癌治療外科学)の中川圭氏が発表した。

 胆道癌においても切除不能例に対する化学療法の有用性が示されているが、切除例では部位・術式の多様性や症例数などの問題から結論は出ていない。

 同科では、胆管癌と胆嚢癌に対する術前化学(放射線)療法の臨床試験を実施しているが、術後補助療法については、組織学的進行度(pStage)と組織学的根治度(pCur)から、患者の希望も踏まえて主治医が判断している。中川氏らは、同科の切除可能胆道癌に対するこれまでの化学療法の現状から、補助化学療法施行の妥当性について検討した。

 対象は、胆道癌に対しゲムシタビンとS-1が選択可能になった2007年8月から2011年7月までの4年間に、同科で主病巣を切除した胆道癌患者165人。部位の内訳は、肝内胆管癌20人、肝門部上部胆管癌69人、中下部胆管乳頭部癌47人、広範囲胆管癌13人、胆嚢癌16人だった。術式は、肝切除(H)90人、膵頭十二指腸切除(PD)42人、肝膵同時切除(HPD)21人、その他12人だった。血管合併切除再建を要したのは39人(24%)だった。

 2年生存率は70.2%、1年の無再発生存率は68.3%となった。pCur Aの患者は80人(48%)、pCur Bの患者は41人(25%)、pCur Cの患者は44人(27%)だった。肝内胆管癌と胆嚢癌ではpCur B、Cの症例が多い傾向がみられた。

 Cox比例ハザード解析では、予後危険因子として、pStage III以上(ハザード比5.73、95%信頼区間:1.88−25.2、p=0.0011)、pCur C(ハザード比2.97、95%信頼区間:1.61-5.51、p=0.0006)があげられた。最も患者数が多い上部肝門部胆管癌を1とした場合のリスク比が高かったのは、胆嚢癌8.00(p<0.0001)、肝内胆管癌4.79(p=0.0003)、広範囲胆管癌5.52(p=0.0149)だった。中川氏は「これらの症例は予後不良であるため、補助療法の必要性が比較的高い患者層と考えられる」とした。

 この165人の切除胆道癌症例に対し化学療法は73%に行われており、術前化学(放射線)療法を施行した「術前群」、術後10週までに化学療法を開始した「補助群」、術後10週以降で画像上再発を認める前に化学療法を開始した「術後群」、再発を確認後に化学療法を開始した「再発群」は、それぞれ27人(16%)、62人(38%)、27人(16%)、4人(3%)となった。
 
 このうち補助群の62人では、術後在院日数は平均31.8日、手術から化学療法開始までは平均45.1日だった。在院中に化学療法を開始したのは9人で、それ以外の53人では退院から化学療法開始まで平均14.9日だった。中川氏は「退院から概ね2週間で術後補助化学療法の導入ができている」と話した。
 
 術前群を除く138人について、pStage別に補助群の割合をみると、pStage Iでは9人中0人(0%)、IIでは28人中8人(29%)、IIIでは35人中24人(69%)、IVaでは40人中20人(50%)、IVbでは26人中10人(38%)だった。pCur別に補助群の割合をみると、pCur Aでは60人中24人(40%)、pCur Bでは39人中24人(62%)、pCur Cでは39人中14人(36%)だった。pStage IV、pCur Cの患者では化学療法の導入が術後10週より遅れる症例がやや多かった。開始治療法としてゲムシタビンが87%と最も多く選択され、次いでS-1の11%だった。
 
 化学療法を導入しなかった要因は、腎機能障害、PSの著しい低下、80歳以上の高齢、患者の希望などだった。

 今回の検討では、補助療法は多くの胆道癌術後患者に導入可能であり、一定の実現可能性があることが示された。中川氏は「今後、臨床研究として特にpStage IVやpCur Cに対して実現可能性と有用性を検討できるレジメンを模索したい」と話した。