切除不能・再発胆道癌患者を対象とするレトロスペクティブな解析から、ゲムシタビンシスプラチンの併用療法(GC療法)の蓄積毒性として、シスプラチンの累積投与量が400mgを超える場合に腎機能の急激な悪化を認め、治療期間よりも累積投与量に注意が必要と考えられた。9月20日から東京都で開催された第48回日本胆道学会学術集会で、神奈川県立がんセンター消化器内科の小林智氏が発表した。

 これまでに行われたABC-02試験およびBT22試験の結果から、切除不能・再発胆道癌に対しGC療法が標準治療と考えられるようになった。両試験の予定治療期間はそれぞれ24週と48週と異なるが、生存期間に大きな差は認められていない。実臨床では24週以降もGC療法が継続されるケースが少なくないが、長期投与ではシスプラチンの蓄積毒性として腎機能障害と神経障害が懸念される。

 そのため小林氏らは、GC療法による蓄積毒性を評価し、長期投与の可能性を検討した。

 対象は、2010年12月から2012年6月までに同院でファーストライン治療としてGC療法を施行した、切除不能・再発胆道癌(肝内胆道癌を含む)患者44人。GC療法ではゲムシタビン1000mg/m2とシスプラチン25mg/m2を投与し、補液は計1700mLを4時間かけて投与した。腎機能についてはCock-croft Gault式によるクレアチニンクリアランス(Ccr)値で評価した。

 対象の44人(男性32人、平均年齢66.7歳)において、局所進行/転移/術後再発は18/21/5人、ECOG PS 0/1は29/15人、胆嚢癌/肝内胆管癌/肝外胆管癌/乳頭部癌は11人/22人/9人/2人、UICC Stage II/III/IVは2/5/37人、腹水の有/無は43/1人だった。血清クレアチニン(Cr)中央値は0.71mg/dL(0.46-1.05)、Ccr中央値は83.3mL/分(45-157)だった。

 治療サイクル中央値は6、相対用量強度の中央値はゲムシタビンが81.2%(25-100)、シスプラチンが81.7%(25-100)だった。44人中、治療を中止したのは34人で、内訳は増悪が19人、有害事象が11人、計画的中止(蓄積毒性による)が4人だった。

 治療期間の中央値は4.9カ月で、全生存期間(OS)中央値は15.7カ月(9.9-21.5カ月)、無増悪生存期間(PFS)中央値は6.0カ月(4.5-7.5カ月)だった。抗腫瘍効果は、部分奏効(PR)が7人、安定状態(SD)が25人で、奏効率は16.7%、病勢コントロール率は76.2%となった。

 血液毒性として、グレード3以上の好中球減少が73%、血小板減少が66%、貧血が14%、白血球減少が11%に発現したが、発熱性好中球減少は認めなかった。非血液毒性では、グレード2以下のCr値上昇を16%に認め、また末梢性の感覚神経障害と聴覚神経障害を各2%に認めたが、いずれもグレード2以下だった。

 Cr値の上昇に寄与する因子として、シスプラチンの総投与量や治療期間とは相関を認めず、開始時のCr値(≦0.7mg/dL vs >0.7mg/dL)が抽出された(p=0.047)。また、後治療で考慮されるS-1ではCcr<60mL/分が減量の指標となることから、Ccr<60mL/分に寄与する因子を検討すると、シスプラチンの総投与量や治療期間とは相関を認めず、開始時のCr値(同上)と開始時のCcr値(≦83mL/分 vs >83mL/分)が抽出された(それぞれp=0.008、p=0.004)。Cr値、Ccr値はともにシスプラチン累積投与量に合わせて徐々に悪化し、累積投与量400mgまではその影響は限定的であったが、400mgを超える場合、特にCcr値で加速度的に悪化を認めた。

 小林氏は「GC療法を長期継続する場合、シスプラチン累積投与量が400mgを超えると加速度的にCcr値が悪化することから、後治療への影響も考慮しつつ行うべきと考えられた」と話した。