胆道癌の初回切除後の再発例に対する再発巣切除で良好な予後が得られる因子は、遅発性の転移・再発症例、病巣が限局しR0切除が可能、化学療法により再発巣がコントロール可能などであることが見いだされた。9月20日から東京で開催された第48回日本胆道学会総会で、東北大学肝胆膵外科の林洋毅氏が発表した。

 胆道癌の切除後再発例では多発および多臓器転移や遠隔リンパ節転移、血管周囲神経叢への浸潤など切除困難な症例が多く、化学療法による治療が一般的だが、予後は不良とされている。ただし、まれに転移巣が限局し、切除可能と考えられる症例があるが、再発巣切除の意義は明らかになっていない。そこで林氏らは切除後再発症例における切除の意義を検討した。

 林氏らの所属施設および関連施設にて、肝内胆管癌(IHCC)を含む胆道癌の切除後に再発をきたし、その後、再発巣に対して治癒目的で切除を行った22例(IHCC 3例、肝門・上部胆管癌9例、中下部胆管癌6例、胆嚢癌4例)を対象に評価を行った。姑息的切除を目的とした症例は含まれていない。

 再発巣切除を施行した22例における初回手術の術式は、IHCC例では左葉尾状葉1例、左葉1例、後区域1例、肝門・上部胆管癌では右葉尾状葉6例、左葉尾状葉3例、、中下部胆管癌では膵頭十二指腸切除(PD)6例、胆嚢癌では右葉尾状葉1例、S4aS5 1例、胆摘2例だった。初回進行度は、I期3例、II期3例、III期8例、IVa期5例、IVb期3例、治癒度を表すA、B、C評価は22例中10例、7例、5例 だった。

 初回手術から再発までの期間中央値は19.6カ月(1.7カ月-78.7カ月)で、ほとんどが5年以内に再発していた。転移確認から手術までの期間中央値は2.9カ月だった。原則6カ月の補助化学療法を施行したのは12例、施行しなかったのは10例で、施行した12例中2例は補助化学療法中に再発。術後補助化学療法の有無別に無再発期間を検討したが、両群に有意な差はなかった。

 再発臓器については、肝転移10例、肺転移6例、リンパ節転移3例、腹膜播種1例、局所再発1例、腹壁1例。再発巣に対する術式では、肝転移に対する部分切除/区域切除/右葉切除のほか、肺転移例には肺部分切除、リンパ節転移例にはリンパ節摘出、腹膜播種例には小腸切除、局所再発例には右葉尾状葉切除、腹壁例には腹壁切除が施行された。

 全22例の初回手術からの生存期間中央値は77.5カ月、1年生存率100%、5年生存率64.0%だった。転移判明後からの生存期間中央値は24.3カ月、1年生存率100%、5年生存率38.7%だった。

 次に、再発切除から再々発までの期間を検討した結果、再々発をきたしたのは16例(72.7%)。再々発までの期間中央値は9.2カ月で、1年再発率50.9%、2年再発率80.9%、3年再発率は100%だった。再々発した16例のうち、6例(単発肝転移3例、単発肺転移2例、腹膜播種1例)に2回目となる再々発巣切除(RFAの1例含む)を行った。再切除にならなかった症例は多発転移、複数臓器への転移だった。

 6例(RFAの1例含む)のうち、3例は3度目の再発が見られた。再度の再発までの期間はさらに短くなった(再々発切除後の無再発期間2.6〜8.1カ月)。いずれも3回目の再発巣切除の対象とはならず切除は行っていない。

 再々発例において、再々発切除を行った症例と行わなかった症例を比較してみると、切除施行症例の生存期間中央値は17.8カ月、1年生存率75.0%、2年生存率37.5%で、一方、切除を施行しなかった症例の生存期間中央値は9.7カ月、1年生存率20%、2年生存率0%で、いずれも切除施行症例において予後が良好な傾向にあった。

 全22例について、初回切除後の無再発生存期間が18カ月以上であったグループは18カ月未満のグループと比べて生存期間が有意に良好だった。しかし、転移判明後の生存期間や転移切除後の生存期間については、初回切除後の無再発生存期間が18カ月以上と18カ月未満の2つのグループの間で有意な差はなかった。

 また、22例のうち、再発巣に対する化学療法により病勢コントロールができた(RECISTで病勢安定以上かつ腫瘍マーカーの上昇なし)グループとできなかったグループに分けて転移判明後の生存期間、転移切除後の生存期間を検討した結果、転移判明後の生存期間は化学療法奏効例は不応例に比べて有意に延長していた。転移切除後の生存期間は統計学的に有意な差ではなかったものの、化学療法奏効例で良好な傾向が見られた。

 再発巣切除時の癌遺残の有無別に検討した結果、R0切除が得られたグループはR1、R2切除のグループと比べて有意に生存期間が延長していた。

 多変量解析解析を行った結果、化学療法の奏効が予後良好因子であることが示された。初回切除後無再発期間が18カ月以上の場合、良好な傾向にあったが、有意ではなかった。転移巣R0切除については、単変量解析で有意な予後良好因子だった。

 これらの結果から林氏らは、現時点で考える再発巣切除の適応として、転移巣が少数で単一臓器に限られること、初回手術後の無再発期間が長いこと、化学療法により再発巣がコントロールされ、経過中に新規病変の出現がないこと、R0切除が可能と判断されること、再発巣切除が過大な侵襲でなく、耐術できる全身状態が保たれ、切除後も化学療法の継続が可能であること、を上げた。そして、「比較的遅発性の転移・再発症例で、病巣が限局し、RO切除が可能、化学療法により病巣コントロールされている症例では、再発切除と転移・再発巣切除後の化学療法により比較的良好な予後が得られる可能性がある」と語った。