再発・難治性の慢性リンパ性白血病(CLL)/小リンパ球性リンパ腫(SLL)患者に対し、PI3キナーゼδPI3キナーゼγを阻害するIPI-145は忍容性があり、抗腫瘍効果も認められることが、フェーズ1試験のCLL/SLLを対象とした解析で明らかになった。6月19日から22日までスイスLuganoで開催された第12回International Conference on Malignant Lymphoma(ICML2013)で、米国Sarah Cannon Research InstituteのIan W. Flinn氏らが発表した。

 PI3キナーゼδとPI3キナーゼγは、B細胞およびT細胞腫瘍の成長や生存に関与している。そのため、それらのキナーゼを選択的に阻害することによって、腫瘍細胞への直接的な効果および微小環境における腫瘍細胞間の相互作用を妨げる効果が期待された。

 フェーズ1試験ではIPI-145を用量漸増し、安全性、最大耐用量(MTD)、薬物動態が検討された。IPI-145は28日を1サイクルとして、8-100mgを 1日2回、経口投与した。対象は再発・難治性の血液癌患者。解析段階で合計117人が投与を受け、うちCLL/SLLは34人(SLLが2人)、B細胞リンパ腫が51人、T細胞リンパ腫が17人だった。

 100mg投与の1サイクル目で、2人に用量制限毒性(グレード3の発疹、グレード3のALT上昇)が認められたため、MTDは75mgとなった。

 CLL/SLL患者34人の年齢中央値は66歳、女性が9人で、25mg以下の投与は20人、75mg以上の投与が14人だった。治療期間中央値は3.5カ月、25mg以下の投与では6カ月、75mg以上の投与では1.8カ月だった。治療の中止は12人(35%)で、有害事象による中止は7人、病勢進行が4人、患者による中止が1人であった。治療中もしくは治療後30日以内の死亡が4人、うち病勢進行が3人で、敗血症が1人だった。

 薬物動態の解析では、末梢血のCLL細胞において、25mgおよび75mgの投与により、リン酸化AKTの阻害が24時間継続していることが示された。

 CLL患者における主な有害事象は、好中球減少(G3:15%、G4:12%)、皮疹(G3:3%、G4:3%)、貧血(G3:9%)、倦怠感(G3:6%)、下痢(G3:6%)、ALT/AST上昇(G3:6%)であった。重篤な有害事象は8人に認められた(肺炎、発熱性好中球減少、口内炎、高血圧、敗血症、スティーブンス・ジョンソン症候群、腫瘍崩壊症候群など)。有害事象により治療中止となったのは7人(肺炎、ニューモシスチス感染症、口内炎、ALT/AST上昇、そう痒症など)だった。

 効果判定はIWCLLに基づいて行われた。効果判定ができたCLL患者22人では、25mg以下の投与が19人、75mg以上の投与が3人だった。結果、最良奏効が部分奏効(PR)の患者が12人、病勢安定(SD)が9人、病勢進行(PD)が1人で、奏効率は55%。また25mg以下の投与患者での奏効率は53%、75mg以上の投与患者では67%だった。SDの9人のうち7人(32%)ではnodal response(CT検査によるリンパ節腫大の50%縮小)が見られた。

 PRになるまでの期間中央値は1.9カ月(1.8-5.6)で、抗腫瘍効果は早期に発現していた。さらに投与2サイクル後の評価において、PRは7人(33%)、nodal responseは9人(43%)であり、治療期間中央値5.5カ月ではPRは12人(55%)に認められることから、IPI-145を継続して投与することで、PR率が上がることが示唆された。

 以上の結果から、「再発・難治性の進行CLL/SLL患者において、IPI-145は忍容性があり、迅速な臨床効果を示した」とした。