節外性NK/T細胞リンパ腫、鼻型(ENKL)に対し、同種造血幹細胞移植よりも自家造血幹細胞移植のほうが生存期間は長くなることが、日本造血細胞移植学会(JSHCT)のリンパ腫ワーキンググループによる解析で明らかになった。名古屋大学大学院医学系研究科 造血細胞移植情報管理・生物統計学の鈴木律朗氏が、6月15〜18日にスイス・ルガノで開催された第11回国際悪性リンパ腫会議 (ICML2011)で発表した。

 悪性リンパ腫のうち、節外性NK/T細胞リンパ腫、鼻型(ENKL)は鼻に発生するまれな病気。予後不良で、造血細胞移植が唯一期待できる治療といわれていた。鈴木氏らはENKLに対する造血幹細胞移植(HSCT)の効果を検討するため、JSHCTの登録データベースを用いてレトロスペクティブに解析した。

 全移植54084例のうち、悪性リンパ腫に対して移植が行われたのは11267例。この中でENKLに対する移植は141例であり、データがそろっていた134例を対象に解析が行われた。134例のうち自家造血細胞移植は60例(自家移植群)で、同種造血細胞移植の74例(同種移植群)では初回移植が60例、2回目の移植が14例だった。

 年齢中央値は同種移植群が43歳、自家移植群が48歳で、男性はそれぞれ35例、40例。同種移植群のうち末梢血幹細胞移植(PBSCT)が32%、骨髄移植が30%、臍帯血移植が38%を占めた。また同種移植群でドナーが血縁者だったのが47%、非血縁者が53%だった。

 病期別ではステージ4が同種移植群で64%を占めたが、自家移植群では33%であった。またPSが2以上の割合が、同種移植群は25%、自家移植群は15%であり、IPI(国際予後指標)低リスクが同種移植群では34%、自家移植群は62%と、自家移植群のほうが状態が良い患者が多かった。

 全生存(OS)を比較した結果、同種移植群に比べて自家移植群が有意に良好だった(p=0.002)。同種移植群の中では、血縁者による移植と非血縁者による移植、臍帯血移植を比べたところ、OSに有意な違いはなかった(p=0.64)。また移植時の抗腫瘍効果で分けたところ、自家移植で完全奏効(CR)だった例のOSが最もよく、続いて同種移植でCRだった例であり、non-CR例では予後は不良であった(p<0.0001)。

 多変量解析では、予後不良因子として、ステージ3/4、移植時のnon-CR、移植時のPS2-4が有意であった。

 自家移植群のOSのほうが良かったことから、鈴木氏は、「状態が良好な患者が自家移植を受ける傾向があったが、言いかえれば、ENKLで状態が良い患者にとって、自家移植は良い治療選択である」と述べた。また「完全奏効に至らなかった患者では、有効性は限定されるが、他のHSCTも治療選択肢になる」と話した。