びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)には、R-CHOP療法(リツキシマブ、シクロフォスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾン) が標準治療として使われているが、初回治療として、エンザスタウリン(enzastaurin)を併用することで、R-CHOP療法単独よりもDLBCLの無増悪生存(PFS)を改善させる傾向のあることが、フェーズ2試験の中間解析で明らかになった。米Sarah Cannon Research InstituteのJohn D. Hainsworth氏らが、6月15〜18日にスイス・ルガノで開催されている第11回国際悪性リンパ腫会議(ICML2011)で発表した。

 エンザスタウリンは経口のセリン・スレオニンキナーゼ阻害剤。プロテインキナーゼCβ(PKCβ)とPI3K/AKT経路を選択的に阻害することで、腫瘍細胞の増殖を阻害し、腫瘍細胞のアポトーシスを誘導、さらに血管新生を抑制する。予後不良なDLBCL患者ではPKCβの過剰発現が認められることから、エンザスタウリンの効果が期待された。

 試験には、化学療法による治療歴がなく、国際予後判定スコア(IPSS)が2以上の intermediateリスク、highリスクのDLBCL患者が登録された。患者は3:2の割合で、エンザスタウリンとR-CHOP療法の併用群とR-CHOP療法単独群に割りつけられた。

 R-CHOP療法単独群では、21日を1サイクルとしてR-CHOP療法を6サイクル行った。エンザスタウリン併用群ではR-CHOP療法に加え、エンザスタウリンを1日に500mg投与した。6サイクルの後、エンザスタウリン併用群で効果が見られた患者にはエンザスタウリンを単独で投与継続した。主要評価項目はPFS、副次評価項目は奏効率、全生存、安全性および忍容性と設定された。

 エンザスタウリン併用群は57人、R-CHOP療法単独群は43人で、年齢中央値はそれぞれ66歳、65歳。ECOG PS 0の患者は47.4%、62.8%で、PS 1の患者は47.4 %、27.9%だった。

 1年PFS率は、エンザスタウリン併用群は73%(95%信頼区間 0.6-0.85)、R-CHOP療法単独群は52%(同 0.35-0.69)と併用群で良好な結果だが、ハザード比は0.64(同 0.33-1.25)、p=0.191と有意ではなかった。また2年生存率はそれぞれ75%、68%で、ハザード比は0.76(同 0.35-1.64)、p=0.483だった。完全奏効率は25%、23.8%であり、PET陰性が61%、64%だった。

 主なグレード3/4の有害事象は、好中球減少がエンザスタウリン併用群は46%、R-CHOP療法単独群も46%、白血球減少が19%、21%、血小板減少は12%、12%、発熱性好中球減少が16%、5%。グレード3/4の感染症が各5%、倦怠感がそれぞれ14%、7%で、「毒性プロファイルはほぼ同等である」とした。

 エンザスタウリン併用群では4人が死亡(敗血症が2人、感染症が1人、急性呼吸窮迫症候群が1人)、R-CHOP療法単独群は2人が死亡した(敗血症が2人)。

 次の解析は、2年間以上のフォローアップの後に行われる予定であるという。