進行ALK陽性非小細胞肺癌(NSCLC)に対し、新規チロシンキナーゼ阻害剤AP26113は、抗腫瘍効果が高く、脳転移に対しても改善が認められることが多施設共同フェーズ1/2試験で明らかになった。10月27日から30日までオーストラリア・シドニーで開催された第15回World Conference on Lung Cancer(WCLC)で、米University of Colorado Cancer CenterのD. Ross Camidge氏らが発表した。

 AP26113は、in vitro実験でALKに対し高い阻害効果を示し、クリゾチニブ耐性の原因となるALK L1196Mを含め変異を有する細胞に対しても阻害効果を示した。またAP26113はT790M変異などEGFR遺伝子変異を有する細胞にも選択的阻害効果を示した。

 フェーズ1/2試験は、標準的な治療が不応の進行悪性腫瘍(白血病を除く)患者を対象に行われた。フェーズ1試験は用量増量試験として3+3デザインで実施された。AP26113は1日1回あるいは1日2回投与された。フェーズ1試験の結果、フェーズ2試験への推奨用量は180mg 1日1回投与と決定された。

 フェーズ2試験の対象は4つのコホートに分けられる。ALK陽性でALK阻害剤による治療歴がないNSCLC患者(コホート1)、ALK陽性でクリゾチニブ抵抗性NSCLC患者(コホート2)、T790M変異を有し1回のEGFR-TKI治療に抵抗性のNSCLC患者(コホート3)、コホート3以外のALK、ROS1、EGFR遺伝子変異をもつ患者(コホート4)とした。さらに2013年5月から、ALK陽性でクリゾチニブ治療歴がない、あるいはクリゾチニブ抵抗性の患者で、脳転移を有するNSCLC患者(コホート5)も対象とした。

 2013年9月6日までに合計91人が登録した。1日あたりの用量が30mg投与の患者が3人、60mgが3人、90mgが8人、120mgが18人、180mgが45人、240mgが12人で、300mgが2人であった。

 主な有害事象は、疲労感、悪心、下痢で、多くはグレード1/2だった。治療関連のグレード3以上の有害事象は、呼吸困難(全患者の4%)、倦怠感(同3%)、下痢(同2%)、低酸素症(同2%)、肺臓炎(同2%)だった。

 またフェーズ2試験でAP26113 180mgを投与した 26人中3人(12%)では、投与早期に肺症状(息切れ、酸素不飽和状態、すりガラス様陰影)が認められた。より低い用量でも肺症状は認められたが、頻度は高くなかった。しかし投与早期に肺症状が見られたことから、推奨用量は180mg 1日1回投与だが、最初の1週間は90 mg 1日1回投与とした。

 抗腫瘍効果はALK陽性NSCLC患者34人で評価された。CRは1人、PRは21人で、奏効率は65%(95%信頼区間:47-80)であった。クリゾチニブ治療歴のある患者31人では19人(61%)に効果が見られ、TKI未治療の3人では3人(100%)で効果が見られた。最も長い奏効期間は40週以上であった。

 また治療開始時に脳病変を有したALK陽性NSCLC患者10人のうち8人で、画像上改善が認められた。脳病変に対する効果も最長で40週以上続いていた。

 今後、同フェーズ2試験において、クリゾチニブ抵抗性ALK陽性NSCLC患者の登録を開始するとした。