経口ALK阻害剤alectinib(CH5424802/RO5424802)は、化学療法による治療歴を有するALK陽性非小細胞肺癌(NSCLC)に対し、奏効率は9割、1年無増悪生存率が8割と良好で、脳転移にも効果が期待できることが、フェーズ1/2試験(AF-001JP)の1年間フォローアップで明らかになった。10月27日から30日までオーストラリア・シドニーで開催された第15回World Conference on Lung Cancer(WCLC)で、東北大学病院呼吸器内科の井上彰氏らが発表した。

 対象は、ALK陽性の進行または転移性NSCLC患者で、1レジメン以上の化学療法の後に増悪し、ALK阻害剤の治療歴はない患者とした。脳転移を有する患者は、無症候性あるいは治療を要しない場合は登録された。ALK 融合遺伝子の発現は、組織検体はIHC法とFISH法で、細胞検体はRT-PCR法で測定された。

 Alectinibは、21日を1サイクルとして、病勢進行または認容できない毒性の発現まで継続投与された。フェーズ1試験の結果、フェーズ2試験での推奨用量は300mgの1日2回投与と決定された。

 フェーズ2試験には、46人が登録された。今回の報告では、フェーズ1試験でalectinib 300mg 1日2回投与を受けた患者12人を含めた58人において、2013年4月18日までのデータの解析結果が報告された。

 患者58人の年齢中央値は49.5歳(26-75歳)、男性が25人、女性が33人、非喫煙者が60%を占め、全員が腺癌であった。前治療が3レジメン以上の患者が31%で、最も多い患者は9レジメンだった。またフェーズ2試験の患者46人では、年齢中央値は48歳(26-75歳)、男性22人、女性24人、非喫煙者が59%、前治療が3レジメン以上の患者が33%であった。

 抗腫瘍効果は、フェーズ2試験の患者において、CRが7人、PRが36人で、奏効率は93.5%(95%信頼区間: 82.1-98.6)となり、すべての患者で30%以上の腫瘍縮小が見られた。奏効までの期間の中央値(Median time to response)は0.7カ月(0.6-7.1カ月)だった。

 無増悪生存期間(PFS)の中央値には達していない。1年 PFS 率は83%(95%信頼区間: 68-92)だった。46 人中34人(73.9%)は治療を継続しており、治療期間中央値は14.8カ月(0.6-20.1カ月)となった。

 安全性は全患者58人について評価された。有害事象の大半(94.7%)がグレード1/2であった。グレード3は15人(25.9%)に見られ、グレード4や治療関連死はなかった。グレード3の有害事象は、好中球減少(7%)、血中ビリルビン増加(3%)、ALT増加(3%)、血中クレアチンフォスフォキナーゼ(CPK)増加(3%)、皮疹(2%)、白血球減少(2%)であった。

 視覚障害はグレード1が3人に、消化器症状(悪心、下痢、嘔吐)もグレード1/2のみで計15人に見られた。間質性肺炎はグレード1が1人に認められた。

 このため「alectinibの長期治療は安全で忍容性があり、有害事象による治療中止も少なかった」とした。

 また治療開始時には58人中18人(31%)で、癌性疼痛に対する治療薬が必要であったが、alectinib治療2サイクル後、18人のうち8人(44%)は投薬を中止した。6サイクル終了時に投薬を要した患者は4人となった。咳や痰についても、治療開始時に6人(10%)で治療薬が必要だったが、alectinib 6サイクル終了時には投薬を要した患者は1人のみだった。

 さらに治療開始時に脳転移を有していた患者14 人のうち、9人では脳病変が消失もしくは全身の増悪が12カ月を超えて見られず、うち6人では16カ月以上もその状態が続いた。脳転移のあった他の5人も、alectinib治療中には脳病変の増悪は認められなかった。

 以上の結果から、「alectinibの1年PFS率は83%と高く、脳病変にも効果が期待できる。alectinibはALK陽性NSCLCの有望な治療選択になる」とした。