治療歴のある進行ALK陽性非小細胞肺癌(NSCLC)アジア人患者に対し、クリゾチニブ治療は標準的な化学療法に比べて有効で、患者の肺癌症状やQOLの改善も認められることが、フェーズ3試験PROFILE1007のアジア人でのpost hoc解析で明らかになった。10月27日から30日までオーストラリア・シドニーで開催されている第15回World Conference on Lung Cancer(WCLC)で、がん研有明病院呼吸器内科の西尾誠人氏らが発表した。

 PROFILE1007試験は、Stage IIIB/IVのALK遺伝子変異陽性NSCLCで、プラチナ製剤をベースにした化学療法による前治療が1回ある患者を対象に、クリゾチニブと標準的な化学療法(ペメトレキセドまたはドセタキセル)を比較した。21日を1サイクルとして、クリゾチニブは250mgを1日2回経口投与した。ペメトレキセドは500mg/m2、ドセタキセルは75mg/m2を1日目に投与した。

 347人がランダム化され、うちアジア人は157人(45%)で、クリゾチニブ群79人、化学療法群78人だった。化学療法群では、ペメトレキセドを投与した患者が50人、ドセタキセルが27人だった(1人は治療を受けなかった)。

 PFS(独立審査委員会による評価)の中央値は、クリゾチニブ群が8.1カ月、化学療法群が2.8カ月で、クリゾチニブ群で有意に長いことが示された(ハザード比 0.53、95%信頼区間:0.36-0.76、p=0.0003)。なお全患者では、クリゾチニブ群で7.7カ月、化学療法群は3.0カ月だった(ハザード比0.49、95%信頼区間:0.37-0.64、p<0.0001)。

 アジア人の奏効率(独立審査委員会による評価)は、クリゾチニブ群 74.7%、化学療法群21.8%で、これも有意にクリゾチニブ群で優れていた(p<0.0001)。全患者では、クリゾチニブ群で65.3%、化学療法群では19.5%だった(p<0.0001)。

 アジア人クリゾチニブ群での主な有害事象は、下痢(63%)、視覚障害(68%)、悪心(62%)などで、グレード3/4の有害事象はALT上昇(G3:13%、G4:3%)、AST上昇(G3:8%、G4:1%)、好中球減少症(G3:9%、G4:3%)、倦怠感(G3:3%)、便秘(G3:1%)、食欲低下(G3:1%)だった。有害事象は全患者に比べてアジア人で高頻度だったが、多くはグレード1/2であった。

 次に、患者報告アウトカム(PRO)は、治療開始時、各サイクルの1日目、治療終了時に、EORTC QLQ-C30と肺癌用のQLQ-LC13を用いて評価した。QOL悪化までの期間(TTD)は、ランダム化時点から、肺癌症状(胸痛、呼吸困難、咳)のスコアが治療開始から10ポイント以上増加した時点までの期間と定義した。

 その結果、TTDの中央値は、クリゾチニブ群4.2カ月、化学療法群1.5カ月で、クリゾチニブ群が有意に長かった(ハザード比0.66、95%信頼区間:0.44-0.98、p<0.05)。なお全患者ではクリゾチニブ群5.6カ月、化学療法群1.4カ月だった(ハザード比0.54、95%信頼区間:0.40-0.71、p<0.0001)。

 症状の改善もクリゾチニブ群で有意に見られた(p<0.05)。脱毛、咳、呼吸困難、倦怠感、胸痛、腕や肩の痛みが、治療開始時に比べて、クリゾチニブ治療により改善した。

 またQOLについても、治療開始時に比べてクリゾチニブ治療で改善し、全般的QOL、身体機能、社会生活機能、日常役割機能、心理的機能に関して改善していた。

 これらの結果から、「アジア人における効果は、全患者に対する効果と一致しており、クリゾチニブは有効性、安全性、肺癌症状、QOLに関して有益であることが示された」とした。