EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺癌(NSCLC)のアジア人患者に対するファーストライン治療として、エルロチニブはシスプラチン+ゲムシタビンの併用療法(GP療法)と比べて、無増悪生存期間(PFS)を有意かつ臨床的に有意義に改善し、奏効率や病勢コントロール率(DCR)もこれを裏付ける結果であったことが、フェーズ3のENSURE試験から示された。10月27日から30日までオーストラリア・シドニーで開催されている第15回世界肺癌学会(WCLC2013)で、中国Guangdong Lung Cancer InstituteのYi-Long Wu氏が発表した。

 エルロチニブは、進行NSCLC患者に対し、セカンドライン/サードライン治療における有効性が証明されている。さらにEGFR遺伝子変異陽性の進行NSCLC患者のファーストライン治療の有効性でも化学療法に対する優越性が示されている。

 Wu氏らは、非盲検、フェーズ3のランダム化試験、ENSURE試験において、中国、マレーシア、フィリピンのEGFR遺伝子変異陽性のNSCLC患者を対象として、ファーストライン治療としてのエルロチニブとGP療法を評価した。

 対象は、IIIB期またはIV期のEGFR遺伝子変異陽性のNSCLCで、ECOG PS 2以下の患者だった。エルロチニブ150mgを1日1回経口投与し、進行または受容不能な毒性の発現まで継続する群(エルロチニブ群)、またはGP療法(3週を1サイクルとして、ゲムシタビン1250mg/m2を1日目と8日目、シスプラチン75mg/m2を1日目に静脈内投与し、4サイクルまで投与)を行う群(GP群)に、患者を1:1でランダムに割り付けた。

 主要評価項目は、試験担当医の判定によるPFSで、独立審査委員会(IRC)による評価も行われた。副次的評価項目は、奏効率、DCR、全生存期間(OS)、安全性だった。プロトコールで定められた中間解析は、PFSのイベントが73%に発現した後に行い(カットオフ日:2012年7月20日)、さらに最新の追加解析(同:2012年11月19日)も行った。

 217人が登録され、エルロチニブ群110人、GP群107人となった。患者背景は両群で同様で、年齢中央値はそれぞれ57.5歳と56.0歳、男性の割合は38.2%と39.3%、IV期の患者の割合は90.9%と93.5%だった。腺癌はエルロチニブ群の94.5%、GP群の94.4%を占めた。EGFR遺伝子変異陽性のExon19欠失変異はそれぞれ52.3%と57.0%、Exon21のL858R点突然変異は47.7%と43.0%に認めた。

 直近のカットオフ日の時点での追跡期間中央値は、エルロチニブ群11.7カ月、GP群10.3カ月だった。

 中間解析におけるPFS中央値は、試験担当医の判定では、エルロチニブ群11.0カ月、GP群5.5カ月となり、エルロチニブ群で有意に延長した(ハザード比0.34[95%信頼区間:0.22-0.51]、p<0.0001)。IRCの判定でもそれぞれ11.0カ月と5.6カ月だった(ハザード比0.42[95%信頼区間:0.27-0.66]、p<0.0001)。最新の追加解析でも、試験担当医とIRCの判定のいずれにおいても、PFS中央値はエルロチニブ群で有意に延長したことが示された。

 EGFR遺伝子変異のサブタイプ別のPFS中央値の解析では、Exon19欠失変異を認める患者において、エルロチニブ群11.1カ月、GP群4.2カ月(ハザード比0.20[95%信頼区間:0.11-0.37])、Exon21のL858R点突然変異を認める患者において、それぞれ8.3カ月と7.1カ月(ハザード比0.57[95%信頼区間:0.31-1.05])となった。最新の追加解析でも同様の結果だった。

 中間解析における奏効率は、エルロチニブ群62.7%、GP群33.6%、DCRはそれぞれ89.1%と76.6%となった。最新の追加解析でも同様の結果だった。OSについてはまだ充分なイベントに達していないため解析がされていない。

 忍容性も、エルロチニブはGP療法と比べて良好で、エルロチニブの過去の試験と比べて安全性に関する新たな問題は認めなかった。

 治療に関連する重篤な有害事象(SAE)は、エルロチニブ群2.7%、GP群10.6%に発現し、有害事象による治療中止はそれぞれ2.7%と12.5%だった。頻度が高かったグレード3以上の有害事象は、GP群では好中球減少(25.0%)、白血球減少(14.4%)、貧血(12.5%)、エルロチニブ群では発疹(6.4%)だった。下痢の発現は、エルロチニブ群では全グレードで40.9%、グレード3は1.8%、GP群ではそれぞれ9.6%と1.0%だった。間質性肺炎は、両群ともに全グレードで0.9%に発現し、GP群ではグレード4の事象だった。最新の追加解析でも忍容性は同様で、SAEの発現率はそれぞれ3.6%と11.5%だった。

 Wu氏は「今回の結果は、EGFR遺伝子変異陽性のNSCLCのアジア人患者に対するファーストライン治療として、エルロチニブが化学療法を上回るPFSの延長効果を示した過去の試験のデータを支持するものとなった」と結論した。