脳転移を有する進行ALK陽性非小細胞肺癌(NSCLC)に対し、クリゾチニブ治療によって、脳内の病勢制御率はおよそ60%であったが、新たな病変も認められたことが、フェーズ2試験PROFILE1005とフェーズ3試験PROFILE1007のレトロスペクティブな解析で明らかになった。10月27日からオーストラリア・シドニーで開催されている第15回World Conference on Lung Cancer(WCLC)で、米Beth Israel Deaconess Medical CenterのDaniel B. Costa氏らが発表した。

 PROFILE1005試験は、1レジメン以上の化学療法を受けた患者(PROFILE 1007試験の化学療法群でPDとなった患者を含む)を対象に、クリゾチニブ250mgを1日2回経口投与した。

 PROFILE1007試験は、3B期/4期のALK変異陽性NSCLCで、プラチナ製剤をベースにした化学療法による前治療が1回ある患者を対象に、クリゾチニブと標準的な2次治療薬(ペメトレキセドまたはドセタキセル)を比較した。クリゾチニブ群には3週おきにクリゾチニブ250mgを1日2回経口投与した。

 両試験とも、治療開始時にCTあるいはMRTによる評価が行われ、脳転移がある場合は6週毎に画像診断が行われた。

 解析対象となった合計888人のうち 、治療開始時に脳転移を有する患者は275人だった。この中で、109人は脳転移に対し未治療(BM未治療群)で、 166 人は治療を受けていた(BM治療群)。

 解析の結果、脳内での効果は、12週時点の病勢制御率(DCR:CR+PR+SD)が、BM未治療群で56%、BM治療群では62%だった。また脳内での奏効率(ORR)はBM未治療群7%、BM治療群でも7%、標的脳病変に対してはそれぞれ18%、33%だった。

 全身に対する効果は、12週時点のDCRは、BM未治療群63%、BM治療群65%、さらに脳転移がない患者では71%であった。ORRはそれぞれ53%、46%、55%だった。

 無増悪生存期間を比較すると、中央値がBM未治療群8.3カ月(95%信頼区間:6.7-14.0)、BM治療群13.5カ月(同:6.2-16.5)、さらに脳転移がない患者では9.9カ月(同:8.8-12.2)であった。

 標的病変以外もしくは新たな病変が認められた患者は、BM未治療群43人、BM治療群54人、脳転移がない患者では201人であり、うち脳内の病変はそれぞれ30人(70%)、39人(72%)、51人(25%)であった。

 以上のように、脳転移に対する治療の有無にかかわらず、クリゾチニブ治療によって、脳内のDCRはおよそ60%であったが、脳内に新たな病変が認められていた。そのためクリゾチニブの脳転移に対する効果は、前向き試験が必要であるとした。