日本人における再発進行非小細胞肺癌(NSCLC)患者へのエルロチニブ投与における、間質性肺疾患(ILD)の進行と予後不良のリスク因子が同定された。ECOG PSが2から4であること、正常肺領域が50%未満であること、蜂巣肺を付随した間質性肺炎であることだった。エルロチニブの全例調査、POLARSTARの結果示されたもの。10月27日から31日までシドニーで開催されている世界肺癌学会(WCLC2013)で、東京慈恵会医科大学の桑野和善氏によって発表された。

 POLARSTARは日本人におけるエルロチニブの安全性と有効性を調べるために実施されたもので、ILDの出現パターンに焦点を当て、エルロチニブを投与された患者におけるILD発症に関連する因子、予後に悪い因子の探索が行われた。今回が最終結果となった。

 2007年12月18日から2009年10月までにエルロチニブの投与を受けた日本人NSCLC患者全員が登録された。2009年10月12日のカットオフ時点で1万708人の患者が登録され、9909人のデータが安全性解析に利用可能で9663人が有効性解析に利用された。各施設から報告されたILD様のイベントは独立したILD審査委員会によって解析され、ILD審査委員会によってILDでないと見なされた症例を除いた全ILD様イベントをILDと定義した。

 9909人の患者背景は、男性が53.5%、65歳未満が45.1%、65歳以上74歳未満が34.1%、腺癌が80.9%、PS 0か1が74.0%、喫煙歴なしが44.9%、既治療化学療法レジメン数0が2.1%、1が25.1%、2が26.8%、3以上が45.9%だった。ゲフィチニブの投与を受けていたのは44.7%。病期は、術後再発が33.7%、2B期が14.1%、4期が50%だった。白金系抗癌剤の治療を受けた経験のある患者は83.6%だった。

 ILD様イベントを経験した491人のうち、ILD審査委員会で評価され、ILDと確認されたのは429人(調査期間2007年12月18日から2011年3月31日まで)。ILD発生率は4.33%だった。ILDによる死亡者数は153人で、発生率は1.54%だった。

 多変量COX回帰分析の結果、エルロチニブで起きるILDのリスク因子としては、同時/過去にILDを起こしたことがあること(調整ハザード比3.187)、喫煙歴(ハザード比2.246)、同時/過去に肺気腫/慢性閉塞性肺疾患(COPD)が存在すること(ハザード比1.860)、肺感染症(ハザード比1.550)、ECOG PSが2-4であること(ハザード比1.431)などが同定された。

 次にILD死のような悪い予後のリスク因子を、ロジスティック回帰モデルを用いた多変量解析で調べた。

 解析の結果、ECOG PSが2から4であること(調整オッズ比が2.450[95%信頼区間:1.405-4.272]、p=0.0016)、正常肺領域が50%未満であること(調整オッズ比3.118[95%信頼区間:1.477-6.582]、p=0.0029)、蜂巣肺を付随した間質性肺炎であること(調整オッズ比6.665[95%信頼区間:1.349-32.943]、p=0.0200)の3つがリスク因子として同定された。