「進行非小細胞肺癌(NSCLC)の治療はこの2、3年で大きく進展したが、4年後の2015年に向け、従来の経験的治療から個別化治療を進めるために、腫瘍組織を集積して分子プロファイリングを行い、個体間あるいは個体内のヘテロジェナイティを考慮して新しい薬剤を開発することが必要である」。7月3日から7日にオランダ・アムステルダムで開催された第14回世界肺癌学会(IASLC2011)で、University of California Davis Cancer CenterのDavid R. Gandara氏がプレナリーセッションで提言した。

 Gandara氏によれば、2011年のテーマは、組織学と維持療法、分子バイオマーカーであった。同氏は各テーマについて現状と課題をまとめた。

 組織病理学的に、NSCLCは腺癌がおよそ40%、扁平上皮癌が30%、大細胞がんが15%を占める。ペメトレキセドの無作為化臨床試験で、その効果は扁平上皮癌と非扁平上皮癌で異なることが示唆されている。一方、タキサン系抗癌剤やゲムシタビンベースの治療では組織学的な違いは生存に影響しないこともわかっている。

 そのため、化学療法や分子標的治療を選択する上で「組織学的分類は大まかな選択にすぎない」とし、今後は個々のNSCLC患者での分子プロファイリングが組織学に代わるだろうとした。 実際、チミジル酸シンターゼ(TS)やERCC1、RRM1は、扁平上皮癌に比べて腺癌で低発現である。組織学的に薬剤の効果が異なる背景には、こうした分子の発現が関わっている可能性があるという。

 維持療法については、ペメトレキセドのPARAMOUNT試験などで有効性が示されている。PARAMOUNT試験は、導入療法と維持療法で同じ薬剤を用いる「continuation maintenance」であり、ペメトレキセドのほか、ベバシズマブやセツキシマブを用いた維持療法が検討されている。だが試験の結果をどのように臨床で患者に適応するか、どの患者を選択するのかといった点に関しては、個々の患者で決めなくてはならない。

 さらに導入療法とは異なる薬剤を維持療法で使う「switch maintenance」の試験も、ドセタキセルやペメトレキセド、エルロチニブなどを用いて実施されている。しかし、これが2次治療より本当に優れているかどうかも検討すべきであるとした。

 「2015年に向けて、進行NSCLCの治療は、臨床所見や医師の経験による経験的治療から、腫瘍の分子プロファイルや予後および効果予測バイオマーカーによる分子ベースの個別化治療に移行する」とGandara氏。「患者の腫瘍はそれぞれ異なり、患者は個々の治療を受けるべきであるが、新薬を検討する多くのフェーズ3試験はそれらの患者をひとまとめにしている」と指摘した。
 
 またEGFR-TKIの耐性メカニズムについても、腫瘍のすべての細胞でEGFR変異が存在するのか、1人の患者で複数の耐性メカニズムがあるのかといった問題が残っており、個体内のヘテロジェナイティをいかに考慮するかが課題であるとした。