催吐性の高い癌化学療法による悪心・嘔吐(CINV)の予防について、肺癌患者を対象とした統合解析から、パロノセトロンは第一世代の5-HT3受容体拮抗剤と比べて急性期の予防効果は同等だったが、遅発期と全体で有意に改善し、安全性は同等であることが示された。7月3日から7日にかけてオランダ・アムステルダムで開催された第14回世界肺癌学会(IASLC2011)で、米国West ClinicのLee Schwartzberg氏が発表した。

 CINVは、患者の多くが治療中に最も苦痛を訴える副作用である。QOLを著しく損ない、化学療法の遅れや治療拒否につながることも多い。肺癌患者の多くは白金系抗癌剤による治療を受けるため、CINVのリスクは高い。

 パロノセトロンは第二世代の5-HT3受容体拮抗剤で、5-HT3受容体に高い結合親和性と選択性を持ち、第一世代の5-HT3受容体拮抗剤と比べて半減期が長い。

 Schwartzberg氏らは、4件のフェーズ3試験の統合解析を行い、高度催吐性化学療法(HEC)または中等度催吐性化学療法(MEC)を受ける肺癌患者のCINVの予防効果について、パロノセトロンと、第一世代のオンダンセトロン、dolasetron、グラニセトロンの安全性と有効性を評価した。急性期を0〜24時間、遅発期を24〜120時間、全体を0〜120時間とし、主要評価項目は嘔吐完全抑制率(CR)、副次的評価項目は嘔吐完全制御率(CC)などとした。

 解析対象は783人となった。パロノセトロンが投与されたのは424人(0.25mgが57人、0.75mgが367人)で、オンダンセトロン、dolasetron、グラニセトロンが投与されたのは、それぞれ58人、30人、271人だった。

 主要評価項目のCRについて、急性期では、パロノセトロンでは68.4%、第一世代の5-HT3受容体拮抗剤では65.5%で、有意差はなかった(p>0.1)。

 CRで有意差がみられたのは遅発期と全体だった。遅発期のCRは、パロノセトロンでは55.9%、第一世代の5-HT3受容体拮抗剤では44.1%だった(p<0.005)。全体のCRは、50.1%と39.3%となった(p<0.005)。

 CCで有意差がみられたのも、遅発期と全体だった。遅発期のCCは、パロノセトロンでは50.7%、第一世代の5-HT3受容体拮抗剤では39.8%だった(p<0.005)。全体のCCは、パロノセトロンでは48.4%、第一世代の5-HT3受容体拮抗剤では37.9%だった(p<0.01)。

 レスキュードーズの使用も、急性期では両群に有意差はなかったが、遅発期と全体ではパロノセトロンを投与した群で有意に少なかった。

 4件の試験全体で、有害事象のプロファイルはパロノセトロンと第一世代の5-HT3受容体拮抗剤で同様であった。報告された有害事象の多くは癌腫や化学療法のレジメンによるものと考えられた。有害事象は、パロノセトロンを投与した患者の88.2%、第一世代の5-HT3受容体拮抗剤を投与した患者の91.7%に発現した。治療に関連する有害事象の発現率は、パロノセトロンでは28.3%、第一世代の5-HT3受容体拮抗剤では30.4%だった。

 両群で患者の5%以上に発現した治療関連の有害事象は、便秘とALTの上昇だった。便秘の発現はパロノセトロン12.7%、第一世代の5-HT3受容体拮抗剤13.3%、ALTの上昇は5.2%と8.4%だった。