非小細胞肺癌(NSCLC)患者の一次治療として、ナノ粒子アルブミン結合パクリタキセル(nab-パクリタキセル)とカルボプラチンの併用は、パクリタキセルとカルボプラチンの併用よりも抗腫瘍効果は高く、扁平上皮癌および70歳以上の患者では生存が改善する傾向のあることが、日本を含む国際共同フェーズ3試験で明らかになった。7月3日から7日にオランダ・アムステルダムで開催された第14回世界肺癌学会(IASLC2011)で、米国University of North CarolinaのM.A. Socinski氏らが発表した。

 nab-パクリタキセルは転移性乳癌などの固形癌で抗腫瘍効果が示されている。このフェーズ3試験では、ステージ3B/4のNSCLCで、ECOG PS 0-1の患者1052人を対象に、nab-パクリタキセルとカルボプラチンの併用(nab-PC群)と、パクリタキセルとカルボプラチンの併用(PC群)が比較された。

 nab-PC群では、3週おきにカルボプラチン(AUC6)を第1日に投与し、nab-パクリタキセル(100mg/m2)は第1日、第8日、第15日に投与した。PC群では、3週おきにカルボプラチン(AUC6)を第1日に投与し、パクリタキセル(200mg/m2)を第1日に投与した。主要評価項目は奏効率、副次評価項目は無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、病勢制御率、安全性と設定された。

 治療数の中央値は両群とも6サイクル。パクリタキセル総投与量はnab-PC群は1325mg/m2に対し、PC群は1125mg/m2で、1回以上の投与量の減量がnab-PC群は46%、PC群は23%の患者で行われた。

 奏効率は全体ではnab-PC群は33%、PC群は25%(p=0.005)であり、扁平上皮癌(450人)に限ると、nab-PC群は41%、PC群は24%(p<0.001)だった。一方、非扁平上皮癌(602人)では奏効率はそれぞれ26%、25%と同等だった。年齢別では70歳未満(896人)では、それぞれ32%、25%(p=0.013)、70歳以上(156人)では34%、24%だった(p=0.196)。

 PFS中央値は、nab-PC群は6.3カ月(95%信頼区間 5.6-7.0)、PC群は5.8カ月(同 5.6-6.7)で、ハザード比は0.902(同 0.767-1.060、p=0.214)。OS中央値がnab-PC群は12.1カ月(同 10.8-12.9)、PC群は11.2カ月(同 10.3-12.6)、ハザード比は0.922(同 0.797-1.066、p=0.271)と、PFS、OSともに有意差がなかった。

 地域別では、日本(149人)でOS中央値がnab-PC群は16.7カ月、PC群は17.2カ月、ハザード比は0.950、ロシア・ウクライナ(724人)ではそれぞれ11.0カ月、11.1カ月、ハザード比は1.019、北米(165人)では12.7カ月、9.8カ月、ハザード比は0.622であった。

 また70歳未満では11.4カ月、11.3カ月、ハザード比は0.999だったが、70歳以上では19.9カ月、10.4カ月、ハザード比は0.583(95%信頼区間 0.388-0.875、p=0.009)だった。扁平上皮癌では10.7カ月、9.5カ月、ハザード比0.89(同 0.719-1.101、p=0.284)、非扁平上皮癌では13.1カ月、13.0カ月、ハザード比は0.95だった。

 グレード3/4の有害事象のうち、好中球減少、神経障害、筋肉痛はnab-PC群のほうが有意に発生率が低かったが、血小板減少と貧血はPC群のほうが少なかった。なおグレード3以上の神経障害がグレード1に改善するまでの期間中央値がnab-PC群は38日、PC群は104日だった。

 これらの結果から、「主要評価項目である奏効率はnab-PC群で優れており、特に扁平上皮癌で効果が高かった」とした。またPFSとOSは治療間で有意な差は見られなかったが、「扁平上皮癌と70歳以上の患者ではnab-PC群のほうが良好な傾向が見られた」とまとめた。