選択的c-Met阻害剤ARQ197は、遺伝子検査を前もって行って投与すれば日本人の非小細胞肺癌(NSCLC)に安全で有効である可能性が明らかとなった。ARQ197を日本人(アジア人)に投与する場合、CYP2C19の代謝活性が弱い患者(PM患者)のフェーズ2推奨用量は1日2回240mg、十分な患者(EM患者)のフェーズ2推奨用量は欧米と同じ1日2回360mgであることも示された。CYP2C19の代謝活性の低い患者が白色人種よりもアジア人で多いことが報告されているが、日本人を対象としたフェーズ1試験の結果、明らかとなったもの。エルロチニブと併用するアジア人のNSCLCを対象にしたフェーズ2試験が既に開始されている。成果はオランダアムステルダムで開催されている第14回世界肺癌学会(IASLC2011)で、静岡がんセンター呼吸器内科部長の山本信之氏によって発表された。

 フェーズ1試験には、EM患者33人(年齢中央値61歳、前治療レジメン数中央値4)、PM患者14人(年齢中央値59.5歳、前治療レジメン数中央値4)が参加した。1日2回70mgから360mgまでの8段階に分けて用量増多試験が実施された。今回は前もってCYP2C19の遺伝子型決定を行い、EM患者とPM患者で1日2回120mgの差をつけて行われた。

 多く見られた薬剤関連の副作用で重篤なものは白血球数減少と好中球減少症だった。重篤な副作用は3人の患者で6件認められた。グレード3の白血球減少症がEM患者1人で、グレード4がPM患者1人で見られた。グレード4の好中球減少症がEM患者1人、PM患者1人で見られた。グレード3の発熱性好中球減少症がEM患者1人、グレード3の肺炎がEM患者1人で起きた。グレード4の血小板減少症がEM患者の1日2回360mg投与群で6人中1人、PM患者の1日2回240mg投与群で7人中3人に発生し、それぞれがフェーズ2の推奨用量となった。

 非小細胞肺癌(NSCLC)患者は他の癌種に比べてARQ197に奏効しやすく、8%にあたる2人(PM患者、1日2回240mg投与群)で部分奏効(PR)が達成、24%にあたる6人の患者で28週以上の病勢安定(SD)が認められた。NSCLC患者の無増悪生存期間中央値は10.4週(95%信頼区間 9.9-23.4)だった。