Met陽性の非小細胞肺癌(NSCLC)患者では、抗Met受容体抗体であるMetMabとEGFRチロシンキナーゼ阻害剤エルロチニブの併用は、エルロチニブ単独に比べて無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)を改善することが、無作為化フェーズ2試験(OAM4558g)の最終報告で確認された。またMET発現の評価にはFISH法よりもIHC(免疫組織化学)法が有用であることもわかった。7月3日から7日にオランダ・アムステルダムで開催されている第14回世界肺癌学会(IASLC2011)で、米国Sarah Cannon Cancer CenterのDavid R. Spigel氏らが発表した。

 Metの発現は予後不良と関連しており、Metの活性化はEGFR阻害剤への抵抗性のメカニズムと考えられている。このためMet阻害剤とEGFRチロシンキナーゼ阻害剤エルロチニブの併用によるdual阻害が期待されていた。

 試験は、ステージ3B/4のNSCLC患者を対象に、MetMAbとエルロチニブの併用(MetMAb+エルロチニブ群)もしくはプラセボとエルロチニブの併用(エルロチニブ単独群)による2次治療あるいは3次治療を比較した。MetMAbは3週おきに15mg/kgを静注し、エルロチニブは1日1回150mgを経口投与した。主要評価項目はMet陽性患者および全患者におけるPFSと設定された。
 
 2009年3月から2010年3月までにNSCLC患者128人が登録し、2010年8月から扁平上皮癌患者9人が加わった。なおMet陽性はIHC法で中等度または強度の染色が認められた腫瘍細胞が50%以上を占めた場合と定義された。IHC法によって93%の患者でMet発現が評価され、Met陽性患者は52%だった。

 PFS中央値の最新データは、Met陽性患者では、エルロチニブ単独群は1.5カ月だったが、MetMAb+エルロチニブ群は2.9カ月、ハザード比は0.53(95%信頼区間 0.28-0.99、Log-rank p=0.04)と、MetMAb追加でPFSは有意に改善した。一方、Met陰性患者ではPFS中央値がそれぞれ2.7カ月、1.4カ月、ハザード比は1.82(同 0.99-3.32、p=0.05)だった。

 OS中央値も、Met陽性患者では、エルロチニブ単独群は3.8カ月、MetMAb+エルロチニブ群は12.6カ月、ハザード比は0.37(95%信頼区間 0.19-0.72、p=0.002)だが、Met陰性患者では15.3カ月、8.1カ月で、ハザードは1.78(同 0.79-3.99、p=0.16)となった。

 Met発現の判定法でサブグループに分けたところ、FISH法によるMet陽性患者ではOSのハザード比は0.60(p=0.35)だが、IHC法でMet陽性かつFISH法陰性の患者ではハザード比は0.37(p=0.01)。またIHC法でMet陽性かつEGFR野生型患者ではハザード比は0.42(p=0.01)だが、IHC法でMet陽性かつFISH法では陰性、EGFR野生型患者ではハザード比は0.45(p=0.07)だった。このことから、「MetMAbとエルロチニブ併用において、IHC法のほうがFISH法よりも感度が高いだろう」とした。

 またIHC法のMet陽性判定で50%をカットオフ値にしたことについて、50%以上とした場合のOSハザード比は0.37だが、10%以上とした場合は0.52(95%信頼区間 0.30-0.92)となることから、50%以上としたカットオフ値のほうが臨床的ベネフィットを得られる患者を選択する上で適しているとした。

 Met陽性患者を対象にしたMetMAbとエルロチニブのフェーズ3試験で、今年、患者登録が開始される予定であるという。