EGFR高発現進行非小細胞肺癌に、ファーストラインとして化学療法に加えて抗EGFR抗体セツキシマブを投与すると、全生存期間(OS)中央値が有意に延長できることが明らかとなった。EGFRの発現量がセツキシマブを加える際のバイオマーカーになる。成果は7月4日から7日までオランダアムステルダムで開催されている第14回世界肺癌学会(IASLC2011)で、オーストリアMedical University of ViennaのR.Pirker氏によって発表された。

 EGFRを発現する進行非小細胞肺癌患者に、セツキシマブを白金系ベースの化学療法に加えることで、セツキシマブを加えなかった場合に比べてOS中央値が延長(セツキシマブ併用群11.3カ月、セツキシマブ非併用群10.1カ月、p=0.044)することはフェーズ3試験FLEXによって示されていた。今回はFLEX試験における試料の免疫組織染色(IHC)によるEGFRの発現の度合いによって、効果に差があるかを調べたもの。IHCスコアが200未満を低EGFR発現群、200以上群を高EGFR発現群とした。

 FLEX試験は、30カ国166施設で行われた試験で、EGFRを発現している3B期/4期の進行非小細胞肺がん患者をシスプラチン、ビノレルビンのみを投与する群(化学療法のみ群)とシスプラチンビノレルビンに加えてセツキシマブを投与する群(セツキシマブ併用群)に分けて行われた。3週おきにシスプラチン80mg/m2を1日目、ビノレルビン25(30)mg/m2を1日目と8日目に投与することを1サイクルとして、最大で6サイクルまで投与した。セツキシマブは最初400mg/m2を投与し、その後は毎週250mg/m2を投与した。

 解析の結果、EGFR高発現群(345人)では、OS中央値は化学療法のみ群(167人)で9.6カ月、セツキシマブ併用群(178人)で12.0カ月、ハザード比0.73(95%信頼区間 0.58-0.93)、p=0.011で有意にセツキシマブ併用群の方が延長していた。無増悪生存期間(PFS)中央値は化学療法のみ群で4.6カ月、セツキシマブ併用群で5.0カ月、ハザード比0.86(95%信頼区間 0.68-1.09)、p=0.22でセツキシマブ併用群の方が延長する傾向があった。治療成功期間(TTF)は化学療法のみ群で4.0カ月、セツキシマブ併用群で4.2カ月、ハザード比0.78(95%信頼区間 0.63-0.97)、p=0.026で有意にセツキシマブ併用群の方が延長していた。奏効率は化学療法のみ群で28.1%、セツキシマブ併用群で44.4%、オッズ比2.04(95%信頼区間 1.30-3.19)、p=0.002で有意にセツキシマブ併用群の方が良かった。

 EGFR高発現患者のうち腺癌患者(135人)では、OS中央値は化学療法のみ群で13.6カ月、セツキシマブ併用群で20.2カ月、ハザード比0.74(95%信頼区間 0.48-1.14)だった。EGFR高発現扁平上皮癌患者(144人)ではOS中央値は化学療法のみ群で8.9カ月、セツキシマブ併用群で11.2カ月、ハザード比0.82(95%信頼区間 0.43-0.88)で有意にセツキシマブ併用群の方が長かった。

 一方、EGFR低発現患者(776人)では、OS中央値は化学療法のみ群(399人)で10.3カ月、セツキシマブ併用群(377人)で9.8カ月、ハザード比0.99(95%信頼区間 0.84-1.16)、p=0.88で両群に差はなかった。PFS、TTF、奏効率ともに有意な差はなかった。

 EGFRの発現の差によって、セツキシマブを加えた群の安全性プロファイルに有意な差はなかった。

【訂正】7/5に以下の訂正をしました。
「IHCスコアが200未満を低EGFR発現群、300以上群を高EGFR発現群とした」を
「IHCスコアが200未満を低EGFR発現群、200以上群を高EGFR発現群とした」に修正しました。