レボホリナートカルシウム(l-LV)+5-FU(RPMI療法)+ベバシズマブによる治療レジメンは、高齢または併用化学療法が不適な切除不能進行再発大腸癌患者に対して有用で忍容性が高い可能性が報告された。大阪医科大学附属病院化学療法センターの吉田元樹氏が、10月2日までウィーンで開催された第37回欧州臨床腫瘍学会(ESMO2012)で発表した。

 ベバシズマブ+フルオロピリミジン系薬剤の併用がファーストライン治療の1つと考えられるようになったAVF2192g試験において、ファーストライン治療としてのRPMI療法+ベバシズマブは、高齢または併用化学療法が不適な切除不能進行再発大腸癌患者に対して無増悪生存期間(PFS)を延長したが、全生存期間(OS)は延長しなかったことが示されている。また、グレード3または4の下痢が40%の患者で見られたほか、60日時点での全死亡は患者の10%を占めた。

 今回、吉田氏らは、高齢または併用化学療法が不適な切除不能進行再発大腸癌患者を対象に、ベバシズマブ+RPMI療法の治療レジメンの安全性と有効性について検討した。ベバシズマブ+RPMI療法については一部修正を加えている。

 主要評価項目は奏効率(RR)、副次評価項目は無増悪生存期間(PFS)、安全性、治療完遂率とした。

 対象は、2009年7月から2010年12月に、13施設から登録した切除不能進行再発大腸癌患者。補助化学療法を除き、進行または再発大腸癌に対する化学療法の治療歴がないこととし、(1)65歳以上、(2)ECOG PSが1または2、(3)血清アルブミンが3.5g/dL以下、(4)オキサリプラチンまたはイリノテカンに不適応、(5)腹部または骨盤領域の放射線療法による治療歴を持つ──のいずれか1つ以上を満たす患者とした。

 治療スケジュールは、28日間を1サイクルとし、1日目と15日目は、l-LV 200mg/m2ボーラス投与、5-FU 600mg/m2ボーラス投与、ベバシズマブ 5mg/kgボーラス投与とし、8日目はl-LV 200mg/m2ボーラス投与、5-FU 600mg/m2ボーラス投与として、22日目から1週間休薬とした。

 試験に登録された41人の患者背景は、年齢中央値76歳(範囲:56-90歳)、男性は44%、ECOG PS 0は51.5%。腫瘍部位は、結腸が63%、直腸が32%、盲腸が5%。転移部位は、肝臓が29%、肺が39%、リンパ節が44%、腹膜が15%。原発巣切除率は85%。補助化学療法実施率は39%だった。術後補助療法を受けていたのは39%だった。

 追跡期間中央値は14.4カ月。5-FUとベバシズマブの用量強度はそれぞれ86.9%、83.6%だった。68%(28人)の患者において病勢進行が見られ、病勢進行なく2.4%(1人)の患者が死亡した。

 奏効率は36.6%、最良効果は56.1%、病勢制御率は85.4%だった。完全奏効(CR)は2人、部分奏効(PR)は21人、安定(SD)が12人、病勢進行(PD)が3人、(NE)が3人だった。

 全生存期間中央値は30.2カ月(95%信頼区間:23.8-未達)、1年生存率は81.7%だった。また、PFS中央値は9.0カ月(95%信頼区間:7.3-19.5)だった。

 有害事象について、グレード3または4の血液学的毒性では、好中球減少が24%、白血球減少が7%、発熱性好中球減少、貧血、血小板減少がそれぞれ2%ずつだった。グレード3または4の非血液学的毒性は、食欲不振が10%、口内炎・粘膜炎が7%だった。

 治療を継続できたのは14%で、病勢進行により治療を中断したのは36%だった。

 過去の臨床試験(AVF2107g、AVF2192g試験)と比較した結果、奏効率、PFSは同等で、OSについては過去の試験では約16〜18カ月だったが、今回の検討では30.2カ月だった。ただし、今回のOSの結果はまだ追跡期間が短く、比較には不十分だとした。一方、グレード3/4の有害事象の発生率については、過去の臨床試験の成績と比べて低かった。

 吉田氏は、「フルオロピリミジン+ベバシズマブを用いた過去の臨床試験と同様の治療効果が得られたほか、従来の報告よりも有害事象を抑制することができた。治療に際しポートが不要で、高齢または併用化学療法が不適な患者に対する有望な選択肢の1つとなりうる」と語った。