転移を有する大腸癌(mCRC)に対するファーストライン治療として、FOLFOXとパニツムマブの併用療法を検討したフェーズ3のPRIME試験では、腫瘍縮小と予後の検討が行われた。8週時の腫瘍縮小はFOLFOX単独と比較して併用療法で多く得られ、無増悪生存期間(PFS)もより改善されたが、相関係数から早期の腫瘍縮小は長期転帰を予測する因子とはならないと考えられる結果が示された。9月28日から10月2日までウィーンで開催された第37回欧州臨床腫瘍学会(ESMO2012)で、フランスCentre Rene GauducheauのJean-Yves Douillard氏が発表した。

 PRIME試験は多施設共同の無作為化フェーズ3試験で、mCRC患者に対するファーストライン治療として、FOLFOXとパニツムマブの併用療法(併用群)とFOLFOX(FOLFOX群)を比較した。併用群において、主要評価項目のPFSはKRAS野生型の患者で有意に改善し、OSも改善する傾向がみられたことが報告された。

 抗EGFRモノクローナル抗体で治療したKRAS野生型のmCRC患者では、8週時にRECIST基準による奏効(RECIST:30%以上の縮小)と治療早期の腫瘍縮小(ETS:20%以上の縮小)を認めた患者でPFSとOSが改善したことが報告されている。

 そこでDouillard氏らは、PRIME試験のデータを用いて、8週時の腫瘍縮小を検証し、6カ月のPFSと2年OSを予測した。腫瘍の大きさはベースラインとその後は8±1週毎にスパイラルCTで測定し、増悪まで継続した。PRIME試験の最終解析データを用いて、8週時のRECISTとETSが達成された、または達成されなかったKRAS野生型のmCRC患者について、PFSとOSの中央値を算出した。

 582人でベースラインと8週時の腫瘍の測定が行われ、このうち併用群は284人、FOLFOX群は298人だった。8週時にRECISTを達成したのは、併用群51%、FOLFOX群38%だった。また8週時にETSを達成したのは、併用群69%、FOLFOX群56%だった。

 PFSについては、582人中491人が試験中に増悪または死亡し、91人(併用群47人、FOLFOX群44人)で解析が打ち切りとなった。

 PFS中央値は、8週時のRECISTまたはETSが達成された患者では達成されなかった患者よりも有意に延長し、またFOLFOX群と比較して併用群で延長していた。

 RECISTの達成の有無によるPFS中央値は、FOLFOX群では、達成された患者で9.6カ月、達成されなかった患者で7.3カ月だった(ハザード比0.65、p=0.0010)。併用群では、達成された患者で11.2カ月、達成されなかった患者で7.3カ月だった(ハザード比0.60、p<0.0001)。

 ETSの達成の有無によるPFS中央値は、FOLFOX群では、達成された患者で9.3カ月、達成されなかった患者で5.7カ月だった(ハザード比0.62、p=0.0002)。併用群では、達成された患者で11.0カ月、達成されなかった患者で5.7カ月だった(ハザード比0.47、p<0.0001)。

 OSについては、582人中391人が試験中に死亡し、191人(併用群98人、FOLFOX群93人)で解析が打ち切りとなった。

 OS中央値は、FOLFOX群と併用群でともに、8週時のRECISTまたはETSが達成された患者で有意に延長した。RECISTが達成された患者では両群のOSは同等となり、ETSが達成された患者では併用群でOSが延長していた。

 RECISTの達成の有無によるOS中央値は、FOLFOX群では、達成された患者で29.5カ月、達成されなかった患者で17.6カ月だった(ハザード比0.54、p<0.0001)。併用群では、達成された患者で30.3カ月、達成されなかった患者で18.0カ月だった(ハザード比0.53、p<0.0001)。

 ETSの達成の有無によるOS中央値は、FOLFOX群では、達成された患者で25.1カ月、達成されなかった患者で16.6カ月だった(ハザード比0.52、p<0.0001)。併用群では、達成された患者で30.0カ月、達成されなかった患者で10.7カ月だった(ハザード比0.43、p<0.0001)。

 ただし、腫瘍縮小と6カ月のPFSまたは2年OSとの相関を示すファイ係数は小さく、早期の腫瘍縮小は長期転帰の予測因子とはならないと考えられた。ファイ係数は、ETSとPFSで0.32、RECISTとPFSで0.24、ETSとOSで0.26、RECISTとOSで0.21だった。

 Douillard氏は「早期の腫瘍の縮小は一つの重要な治療目標であるが、8週以内という時間枠で達成できないことが治療を中止する唯一の理由であってはならない」としている。