III期の結腸癌で完全切除が行われた患者を登録し、術後補助療法としてFOLFOX4を行った場合とそこにセツキシマブを加えた場合の利益とリスクを評価した試験において、KRAS変異型患者に限定した分析の結果がESMO2012で報告された。スペインInstitut Català D'oncologiaのRamon Salazar氏は、セツキシマブの追加は、無病生存期間に利益も害ももたらさなかったと述べた。

 FOLFOX4は外科的切除が行われたIII期の結腸癌患者に対する術後補助療法として標準的に用いられている。一方で抗EGFR抗体製剤や抗VEGF抗体製剤は、術後補助療法に用いても3年無病生存率を改善出来ないことが示されていた。

 PETACC8試験は、術後にFOLFOX4に加えてセツキシマブを用いた場合の利益を評価する目的で行われた。当初は、KRASが野生型か変異型かを問わずに患者を登録していたが、途中で、対象をKRAS野生型に限定するためのプロトコル変更が行われた。今回は、それ以前に登録されたKRAS変異型患者のデータを分析した。先に行われた研究では、KRAS変異型患者に対するFOLFOX4+抗EGFR抗体製剤レジメンは有害で、無増悪生存期間を短縮する可能性が示されていた。

 PETACC8に登録されたのは、完全切除が行われたIII期の結腸腺癌のうち、18歳以上75歳未満で、リンパ節転移が1カ所以上確認され、PS 0または1、肝機能と腎機能の低下がない患者。直腸癌の患者や、化学療法または放射線治療歴のある患者などは除外した。

 術後28-56日の患者をFOLFOX4またはFOLFOX4とセツキシマブに無作為に割り付け、12サイクルの治療を行った。

 主要評価指標は、無病生存期間(DFS)、2次評価指標は、全生存期間、治療遵守率、毒性など。

 742人のKRAS変異型患者が登録されており、374人(平均年齢60.1歳、男性が52.4%)がセツキシマブなし(対照群)、368人(60.1歳、52.4%)がセツキシマブ併用(介入群)に割り付けられていた。両群の患者特性と腫瘍の特徴は同様だった。介入群の患者の20.1%、対照群では25.1%が病期pT4、35.6%と36.1%がpN2と判定されており、脈管侵襲陽性は50.5%と52.7%で、登録された患者はハイリスクと考えられた。

 中央値45.4カ月の追跡で、対照群と介入群のDFSに有意差は見られなかった。ハザード比は1.061(95%信頼区間:0.819-1.374、p=0.65)。別個に評価されたKRAS野生型患者のDFSのハザード比は1.047(同:0.853-1.286、p=0.6562)だった。

 KRAS変異型患者の3年無病生存率は、対照群が71.0%(66.0-75.3)、介入群が70.7%(65.6-75.1)。野生型患者ではそれぞれ75.1%(71.7-78.1)と78.0(74.8-80.8)で、1年時から4年時までの無病生存率は、セツキシマブ追加の有無にかかわらずKRAS変異型患者で低かったことから、KRAS変異陽性は予後不良を示唆すると考えられた。

 サブグループ解析も行ったが、どの集団にもセツキシマブ併用よる有意な利益は認められなかった。

 グレード3以上の有害事象の発生率は、対照群が68.4%、介入群は81.0%で相対リスクは1.18(1.09-1.29)になった。介入群に多かったのは、ニキビ様発疹(介入群29.1%、対照群0%)、下痢(15.1%と9.4%)、粘膜炎(9.8%と0.8%)、発熱性好中球減少症(2.7%と0.8%)など。

 加えて、12サイクルの治療完了を完了できなかった患者は介入群に多かった(28.3%と20.3%)。

 分析結果は、FOLFOX4にセツキシマブを加えても、KRAS変異型患者のDFSに好ましい影響はみられないこと、一方で、セツキシマブ追加はFLOFOX4の効果に悪影響を及ぼさないことを示した。全体的な結果は、KRAS野生型患者を対象にセツキシマブ追加の利益とリスクを分析した場合とよく似ていた。ただし、野生型患者に比べ変異型患者の転帰は不良であることから、KRAS変異の有無が予後に影響を及ぼすことが示唆された。