HER2陽性転移性乳癌患者に対し、ラパチニブ+カペシタビン併用でもトラスツズマブ+カペシタビン併用でも脳転移の頻度は低いことが、オープンラベル無作為化フェーズ3試験CEREBEL試験で確認された。しかしラパチニブ+カペシタビン併用のトラスツズマブ+カペシタビン併用に対する優越性は証明されなかった。フランスCHU-Hopital Jean MinjozのXavier Pivot氏らが、オーストリア・ウィーンで9月28日から開催された第37回欧州臨床腫瘍学会(ESMO2012)で発表した。
 
 試験の主要評価項目は、初回再発部位としての脳転移の頻度、副次評価項目は無増悪生存(PFS:無作為化から増悪もしくは死亡までの期間)、全生存(OS)、奏効率と病勢制御率、脳転移の初回発症までの期間、脳転移の全頻度、安全性と設定された。

 対象は、HER2陽性(FISH+/IHC 3+)の転移性乳癌で、アントラサイクリン系抗癌剤もしくはタキサン系抗癌剤の治療歴があり、脳転移のない患者540人。患者をラパチニブとカペシタビンを併用投与する群とトラスツズマブとカペシタビンを併用投与する群に無作為に分けた。

 ラパチニブ+カペシタビン群では、ラパチニブを1250mg/日、カペシタビンは2000mg/m2/日を第1-14日に3週おきに投与した。トラスツズマブ+カペシタビン群では、トラスツズマブ6mg/kgを21日おきに、カペシタビンは2500mg/m2/日を第1-14日に3週おきに投与した。
 
 トラスツズマブの治療歴がある患者はラパチニブ+カペシタビン群で62%、トラスツズマブ+カペシタビン群で59%だった。

 この結果、初回再発部位としての脳転移の頻度は、ラパチニブ+カペシタビン群が3%、トラスツズマブ+カペシタビン群が5%だった(ハザード比0.65、p=0.36)。HER2陽性転移性乳癌患者の前向きデータで、無症候性の脳転移は約20%にあると報告されていたが、今回の脳転移の頻度は低く、主要評価項目には達しない結果となった。
 
 脳転移の全頻度はそれぞれ7%、6%(ハザード比1.14、p=0.86)だった。脳転移の初回発症までの期間中央値はそれぞれ5.7カ月(2-17)、4.4カ月(2-27)であった。

 PFS(担当医による評価)中央値はラパチニブ+カペシタビン群が6.6カ月、トラスツズマブ+カペシタビン群が8カ月(ハザード比1.3、p=0.021)となった。OS中央値はそれぞれ22.7カ月、27.3カ月(ハザード比1.34、p=0.095)だった。

 トラスツズマブの治療歴の有無で分けると、トラスツズマブ治療歴のある患者では、ラパチニブ+カペシタビン群のPFS中央値は6.6カ月、トラスツズマブ+カペシタビン群が6.1カ月(ハザード比1.13)と変わりなく、OS中央値はそれぞれ22.7カ月、27.3カ月(ハザード比1.18)だった。

 一方、トラスツズマブ治療歴がない患者では、ラパチニブ+カペシタビン群のPFS中央値は6.3カ月、トラスツズマブ+カペシタビン群が10.9カ月(ハザード比1.7)だった。OS中央値は両群とも到達していない(ハザード比1.67)。

 奏効率はラパチニブ+カペシタビン群が27%、トラスツズマブ+カペシタビン群が32%で、病勢制御率はそれぞれ41%、44%だった。

 有害事象はラパチニブ+カペシタビン群が91%、トラスツズマブ+カペシタビン群が92%で見られ、重篤な有害事象はそれぞれ13%、17%で、治療中止にいたる有害事象は11%、13%と、両群でほぼ同等だった。
 
 最も多いグレード3の有害事象は手足症候群で、ラパチニブ+カペシタビン群が9%、トラスツズマブ+カペシタビン群は15%だったが、「トラスツズマブ+カペシタビン群ではカペシタビンの用量が多いため」とPivot氏。グレード3/4の下痢は、ラパチニブ+カペシタビン群で6%、トラスツズマブ+カペシタビン群が8%であり、「下痢に対する予防が忍容性やQOLのためには重要」とした。

 これらの結果から、Pivot氏は、「ラパチニブとカペシタビン併用は、トラスツズマブ治療歴のある転移性乳癌患者の治療選択肢である」と話した。