ALK融合遺伝子陽性進行非小細胞肺癌(NSCLC)で治療歴がある患者に対し、クリゾチニブは肺癌の症状全般および総合QOL(global QOL)に良好な影響を及ぼすことが、フェーズ2のPROFILE1005試験で行われた患者報告アウトカムの検討から示された。9月28日から10月2日までウィーンで開催された第37回欧州臨床腫瘍学会(ESMO2012)で、英国Christie Hospital NHS FoundationのF. H. Blackhall氏が発表した。

 PROFILE1005試験は、現在進行中の国際的な多施設共同、非盲検、単群のフェーズ2試験。治療歴があるALK融合遺伝子陽性進行NSCLC患者を対象に、3週を1サイクルとして、クリゾチニブ250mgを1日2回投与し、安全性と有効性を評価している。主要評価項目は奏効率だった。

 2012年1月の時点で901人が登録され、有効性解析対象259人の奏効率は60%で、忍容性も良好であることが報告された(ASCO2012、抄録番号7533)。

 今回Blackhall氏らは、この試験で副次的評価項目として評価された患者報告アウトカムを最新化し、報告した。目的は、患者からの報告による肺癌症状、機能、QOLに対するクリゾチニブの影響を評価することだった。
 
 患者報告アウトカムの評価は、癌患者の一般的なQOLを評価するEORTC-QLQ-C30と肺癌患者のQOLを評価するQLQ-LC13を用いて、ベースライン、各サイクルの1日目、治療終了時に行い、機能、肺癌の症状、総合QOLを4点リッカート尺度で評価した。
 
 各項目の平均を計算し、得られた素点を0から100点までの標準的なスケールに換算した。QOLと機能ではスコアが高いほど良好で、症状ではスコアが高いほど重症度が高いことを表す。ベースラインから10点以上の変動がある場合を臨床的に有意な変化とした。

 2012年1月の時点で、901人が安全性の評価対象となり、このうち797人(88%)がベースラインとその後の時点で質問票に回答した。回答率は高く、最初の18サイクルで質問に1つ以上回答した患者は95%以上だった。

 患者の多くは女性(57%)、65歳未満(83%)、コーカサス人種(55%)、非喫煙者(66%)、腺癌(92%)で、年齢中央値は53歳だった。

 多くの症状で、統計学的に有意かつ臨床的に有意な改善が早期に認められ、維持されていた。こうした改善が認められ、維持されていたのは、疲労感(4−21サイクル)、疼痛(2−19サイクル)、咳嗽(2サイクル以降)、胸痛(3−20サイクル、ただし18サイクル目を除く)、腕や肩の疼痛(3−16サイクル)においてだった。呼吸困難は、EORTC QLQ-C30では3−19サイクル、QLQ-LC13では4−17サイクル(14サイクル目を除く)で改善が認められた。

 機能では、身体機能(8、9サイクル)、日常役割機能(9、10サイクル)、社会生活機能(4−15サイクル、ただし12サイクル目を除く)において、統計学的に有意かつ臨床的に有意な改善が認められた。総合QOLでは、3−15サイクル(11サイクル目を除く)で統計学的に有意かつ臨床的に有意な改善が認められ、15サイクル以降も改善は認められたものの、10点未満の変動だった。

 一方、臨床的に有意な悪化は、便秘(2、3サイクル)と下痢(2−6、9、10サイクル)で認められた。また悪心と嘔吐では2サイクル目に統計学的に有意な変動を認めたが、臨床的に有意ではなかった。