進行した肝細胞癌患者を登録し、ソラフェニブ+エルロチニブまたはソラフェニブ+偽薬に割り付けて全生存期間を比較した二重盲検の無作為化フェーズ3試験SEARCHにおいて、両群の全生存期間に有意差は見られなかった。米Massachusetts総合病院のAndrew Zhu氏が詳しいデータをESMO2012で報告した。

 ソラフェニブは経口投与が可能なマルチキナーゼ阻害薬で、Raf/MEK/ERK、VEGFR、PDGFRによる信号伝達経路を標的とし、腫瘍の増殖と血管新生を抑制する作用を持つ。切除不能な進行肝細胞癌患者に適用できる唯一の経口薬として治療に用いられている。

 同じく経口投与が可能なエルロチニブはEGFRチロシンキナーゼに対する可逆的な阻害薬で、進行性の非小細胞肺癌と膵臓癌への適応が承認されている。肝細胞癌に単剤で用いたフェーズ2では安全性が示され、有効性も示唆されていた。

 肝細胞癌患者にこれらを併用すれば、相乗的または相加的な利益が得られる可能性があると考えた研究者たちは、進行性肝細胞癌患者に対する第1選択としての2剤併用の有効性と安全性を評価するSEARCH(Sorafenib and Erlotinib, a Randomized Trial Protocol for the Treatment of Patients with Hepatocellular Carcinoma)試験を、欧州、北米と南米、アジア太平洋地域の26カ国で実施した。

 切除不能の進行性または転移性肝細胞癌で、ECOG PSが0-1で全身状態は良好、Child-Pugh classはAで肝障害の程度は軽症、1カ所以上の測定可能病変が認められる患者を登録した。全身性の化学療法または分子標的薬の投与を受けた経験のある患者などは除外した。

 無作為に、ソラフェニブ400mgを1日2回+エルロチニブ150mgを1日1回、または、ソラフェニブ400mgを1日2回+偽薬150mgを1日1回に1対1で割り付けた。治療は、進行、死亡、または継続が不可能なレベルの毒性が現れるまで継続した。

 主要評価指標は全生存期間(OS)に、2次評価指標は、無増悪期間(TTP)、病勢コントロール率(DCR)、安全性に設定し、Intention-to-treat分析した。

 720人を登録し、362人をソラフェニブ+エルロチニブ(介入群、年齢の中央値は61歳、男性が82%)、358人をソラフェニブ+偽薬(対照群、60歳、80%)に割り付けた。

 全生存期間の中央値は、併用群が9.5カ月、対照群が8.5カ月で、ハザード比は0.929(95%信頼区間:0.781-1.106、p=0.204)、TTPはそれぞれ3.2カ月と4.0カ月で、ハザード比は1.135(同0.944-1.366、p=0.91)となり、いずれも有意差を示さなかった。

 全奏効率は介入群が7%、対照群が4%で、介入群のほうが好ましい傾向を示した(p=0.051)が、DCRは介入群が44%、対照群が53%で、対照群で有意に良好だった(p=0.0104)。

 ソラフェニブの1日用量の中央値は、介入群が768mg、対照群は773mg、介入群のエルロチニブの1日用量は142mg、対照群の偽薬の1日用量は143mgだった。治療期間の中央位置は2.8カ月と4.0カ月で介入群のほうが短かったが、用量削減、投与中断を経験した患者の割合は同様だった。

 居住地域に基づいて、登録患者を米国(173人)、欧州(369人)、アジア太平洋地域(178人)の3群に分け、各グループ内で上記と同様にOSとTTPなどを比較したが、どのグループにおいても、介入群と対照群の間に有意差は見られなかった。

 投与中の有害事象の発生率は、介入群が100%、対照群が99%、薬剤関連有害事象は95%と95%、投与中の重症有害事象の発生率は58%と55%、薬剤関連の重症有害事象は21%と23%だった。割り付けから最後投与後30日目までの死亡は21%と18%で、すべて有意差を示さなかった。ソラフェニブを単剤で用いた場合とエルロチニブを単剤で用いた場合には報告がなかった、新たな毒性や予期せぬ毒性は認められなかった。

 得られた結果は、進行肝細胞癌患者に対するソラフェニブ療法にエルロチニブを追加しても、生存利益は見られないことを示した。