血中アンジオポエチン-2(Ang-2)とMatrix Metalloperoteinase-2(MMP-2)、HIF-1αは転移性腎細胞癌に対するスニチニブの効果と相関するマーカーである可能性が示された。一方、血管内皮増殖因子-Aや血管内皮増殖因子受容体3の一塩基多型(SNPs)は予後との相関は見られなかった。9月28日からウィーンで開催された第37回欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で、米Memorial Sloan-Kettering Cancer CenterのRobert Motzer氏が発表した。

 今回、Motzer氏らは、スニチニブのフェーズ2試験を対象に、転移性腎細胞癌に対するスニチニブ治療が適している患者の選択に有効な血中因子、生殖系細胞、腫瘍マーカーを探索した。

 対象となったフェーズ2試験は、局所再発または転移性の腎細胞癌、組織型は淡明細胞癌、全身化学療法未治療で、KPS 70%以上の患者を登録したもの。スニチニブ1日50mgを4週投与2週休薬する群(146人)、スニチニブ1日37.5mgを毎日投与する群(146人)に割り付け、2年間フォローアップした。

 血中蛋白はRECIST基準による最良総合効果との相関を、血管内皮増殖因子-A(VEGF-A)遺伝子や血管内皮増殖因子受容体3(VEGFR3)遺伝子は奏効率や生存期間との相関を検討した。腫瘍マーカーであるHIF-1α、CA-IXは生検試料を対象に免疫染色を行い、VHL遺伝子の変異や欠失、メチル化などによる不活性化はシーケンス法で行い、生存期間などとの相関を検討した。

 血中たんぱく質については、4週投与2週休薬群のみから採取した74人分、SNPsは両群から202人分、HIF-1α、CA-IXについては両群から149人分、VHL遺伝子についても両群から143人分の試料を解析した。

 まず40〜45の血中蛋白について検討した結果、完全奏効(CR)、部分奏効(PR)と有意な相関が見られたのは、Ang-2とMMP-2のみだった。

 次にPDGF-A遺伝子、VEGFR3遺伝子に知られるSNPsと、進行までの期間(TTP)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)との相関を検討したが、いずれのSNPも各指標との相関は認められなかった。

 HIF-1αやCA-IXを評価するために免疫組織染色による解析を行った149人の患者背景は試験全体の対象者と年齢、体重、身長、人種などに差はなかったが、2群間にリスク分類に差があり、37.5mg毎日投与群は4週投与2週休薬群に比べてPoorリスクに分類される患者が少なかった。

 こうした背景を踏まえ、HIF-1α、CA-IXとTTP、PFS、OSとの相関を検討した結果、まず両群から得られた149人分では、HIF-1α、CA-IXとTTP、OSとの間で相関は認められなかった。一方、HIF-1αとPFSの間には相関が認められ、HIF-1α発現が低いグループでPFSが延長していた。149人の試料を割り付けられた群別に分けて検討した結果、37.5mg毎日投与群から得られた試料においてはHIF-1αとTTP、PFSとの相関は認められながったが、4週投与2週休薬群がら得られた試料においてはHIF-1αとTTP、PFSとの間に相関があり、いずれもHIF-1α発現が低いグループでTTP、PFSが延長していた。

 VHLの不活性化変異と予後とには相関が認められなかった。

 これらの結果からMotzer氏らは、今回の検討からは、これらの因子が効果予測マーカーなのか予後予測マーカーなのかは分からないが、血中Ang-2、MMP2と免疫組織染色によるHIF-1αの評価は、転移性腎細胞癌に対するスニチニブの効果を評価するバイオマーカー候補として今後詳細に検討すべきとした。