Child-Pugh Aの進行肝細胞癌に対する経口チロシンキナーゼ阻害薬lenvatinib(E7080)投与は、安全で有効である可能性がフェーズ1/2試験の結果示された。9月28日からウィーンで開催された第37回欧州臨床腫瘍学会(ESMO2012)で、虎の門病院肝臓科部長の池田健次氏が発表した。

 lenvatinibは、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)1-3、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)1-4、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)β、RET、KITを標的にしたチロシンキナーゼ阻害剤。これまでに、フェーズ1試験としてChild-Pugh A、Bの進行肝細胞癌患者を対象に最大耐用量を検討し、フェーズ2試験ではChild-Pugh Aを対象に安全性と有効性を検討した。その結果、Child-Pugh Aの進行肝細胞癌患者へのlenvatinibの最大耐用量(MTD)は1日1回12mgであることが報告されている。

 今回、池田氏らは、このフェーズ2試験を延長して検討した結果について報告した。1日12mgを、28日間を1サイクルとして病勢進行、または制御不能な有害事象、同意撤回、試験終了まで継続投与した。投与量の減量基準は、グレード4の血液学的毒性(輸血を要するグレード3の血小板減少症)、非血液学的毒性(AST/ALT>10xULN、コントロール不能なグレード4の高血圧、そのほかの治療を要さないグレード3以上の非血液学的毒性)とした。

 対象は、Child-Pugh Aの進行肝細胞癌患者。20-80歳のECOG PSが0-1で、前治療でグレード2以上の有害事象が出現しなかった患者とした。前治療としてソラフェニブ投与例も含めた。腫瘍が肝臓の50%以上を占める患者や2つ以上の全身化学療法を受けている患者、1カ月以内に臨床的に意味のある出血や血栓症が見られた患者は除外した。

 主要評価項目は無増悪期間(TTP)。治療評価はmRECISTを用い、第三者機関の放射線科医による中央審査と治験責任者が行った。副次評価項目は奏効率(ORR、CR+PR)、病勢制御率(DCR、CR+PR+SD)、全生存期間(OS)。

 登録期間は2010年7月から2011年6月で、日本から43人、韓国から3人が登録された。

 年齢中央値は66.5歳、男性割合は71.7%、ECOG PS 0が84.8%。脈管浸潤Vp0が89.1%、肝外転移ありは45.7%、背景肝はHCVが58.7%、HBVが32.6%、非B非Cが8.7%だった。Child-Pughスコア5点は89.1%。前治療として化学療法を受けていたのは34.8%(うちソラフェニブによる治療は13.0%)、肝動注は10.9%、手術歴ありは41.3%、TACE歴ありは84.8%、TAE歴ありは2.2%、PEIT歴ありは19.6%、RFA歴ありは67.4%だった。放射線治療は13.0%だった。

 治療期間中央値は6.4カ月。患者の70%が治療関連有害事象のために減量しており、19.6%が治療を中断した。

 体重が少ない患者(53kg未満)は全員減量が必要となったため、母集団薬物動態法を用いて最適投与開始量を検討。「これまでの臨床試験の結果から、十分な治療効果が期待できるAUCは1500ng・時間/mL以上」(池田氏)だったことから、ROC解析により導き出したカットオフ値である体重60kgで分けて検討した結果、60kg未満の患者には1日8mg、60kg以上の患者には1日12mgが最適投与開始量であることが分かった。

 多く見られた有害事象は、高血圧が76.1%(うちグレード3は54.3%)、手足紅斑異感覚症候群が60.9%(同6.5%)、食欲不振54.3%(同2.2%)、蛋白尿52.2%(同17.4%)、血小板減少が50%(グレード3が28.3%、グレード4が2.2%)だった。

 主要評価項目のTTP中央値は、治験担当医師による評価で9.4カ月(95%信頼区間:7.2-12.9)、独立評価委員会による検討では7.5カ月(同5.5-9.4)だった。

 OS中央値は18.3カ月(95%信頼区間:12.8-)で、患者の50%(23人)が死亡した時点で導き出した。

 治験担当医師による抗腫瘍効果の評価は、部分奏効(PR)が34.8%、病勢安定(SD)が47.8%で、客観的奏効率は34.8%、病勢制御率は82.6%だった。一方、独立評価委員会による評価では、PRが32.6%、SDが45.7%で客観的奏効率は32.6%、病勢制御率は78.3%だった。

 池田氏は、「lenvatinibは、60kg未満の患者では用量調整する頻度が高かったが、これまでのチロシンキナーゼ阻害剤と同様の毒性で、新たな有害事象は見られず、用量調整により管理可能だった」と語り、Child-Pugh Aの進行肝細胞癌患者に対するlenvatinib投与は有効であると結論付けた。

 今後はフェーズ3試験を検討しており、体重を基準にした開始投与量(60Kg未満は1日8mg、60kg以上は1日12mg)にて試験を行う計画だ。また、フェーズ2試験では効果判定基準としてmRECISTを用いたが、フェーズ3試験ではRECIST 1.1による評価も検討したいとしている。