進行非小細胞肺癌(NSCLC)患者に対し、ファーストライン治療の化学療法にエルロチニブを加えることで無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)が有意に改善し、特にEGFR遺伝子変異陽性の患者で高い有用性が得られることが、フェーズ3のFASTACT-2試験(MO22201;CTONG0902)のバイオマーカー解析から明らかになった。9月28日から10月2日までウィーンで開催されている第37回欧州臨床腫瘍学会(ESMO2012)で、中国Prince of Wales HospitalのTony Mok氏が発表した。

 先行のフェーズ2のFASTACT試験では、ファーストライン治療の白金系抗癌剤を含む化学療法にエルロチニブを加えることで、化学療法のみと比較して無増悪生存期間(PFS)が延長したことが報告された。ただし、バイオマーカー解析のデータは限られていた。このFASTACT試験の有望な転帰を確認し、バイオマーカーのサブグループ解析を行うため、無作為化、プラセボ対照、二重盲検のフェーズ3試験、FASTACT-2試験が実施された。
 
 FASTACT-2試験の対象は未治療のIIIB/IV期のNSCLC患者で、451人が登録された。1サイクルを28日として、ゲムシタビン(1250mg2を1日目と8日目)と白金系抗癌剤(カルボプラチンAUC5またはシスプラチン75mg2を1日目)に加え、エルロチニブ(150mg/日を15日目から28日目まで)を投与する群(GC-E群、226人)、またはプラセボを投与する群(GC-P群、225人)に患者を無作為に割り付けた。治療は最大6サイクルまで施行した。増悪を認めなかった患者に、維持療法としてエルロチニブ(同量)またはプラセボを増悪を認めるまで投与した。プラセボ群では増悪を認めた時点でエルロチニブの投与を可とした。
 
 対象中、397人(88%)からバイオマーカー解析への同意が得られ、301人(66.7%)で標本の採取が可能で、283人(62.7%)の標本が解析に適していた。

 EGFR遺伝子変異は241人で解析され、このうちEGFR遺伝子変異陽性は97人(GC-E群49人、GC-P群48人)、EGFR野生型は136人(GC-E群69人、GC-P群67人)だった。残る210人のEGFR遺伝子変異の状態は不明だった。患者背景は両群間で有意差はなかったが、非喫煙者と腺癌の割合は、EGFR野生型と比較してEGFR遺伝子変異陽性の患者で多かった。

 今回は2012年6月22日の時点での最新データが明らかにされた。主要評価項目の無増悪生存期間(PFS)は今年の米国臨床腫瘍学会(ASCO2012)での発表と同様、GC-E群7.6カ月、GC-P群6.0カ月、ハザード比は0.57(95%信頼区間:0.47−0.69)で、エルロチニブを加えることで有意に改善した(p<0.0001)。
 
 全生存期間(OS)中央値は、GC-E群18.3カ月、GC-P群15.2カ月、ハザード比は0.79(95%信頼区間:0.64−0.99)で、GC-E群で有意に改善した(p=0.0420)。
 
 EGFR遺伝子変異陽性のサブグループでは、エルロチニブを加えることで高い有用性が示された。PFS中央値はGC-E群16.8カ月、GC-P群6.9カ月、ハザード比0.25(95%信頼区間:0.16−0.39)だった(p<0.0001)。奏効率はGC-E群83.7%、GC-P群14.6%となった。OS中央値はGC-E群31.4カ月、GC-P群20.6カ月、ハザード比0.48(95%信頼区間:0.27−0.84)だった(p=0.0092)。

 なお、セカンドライン治療として、全対象ではGC-P群の79%、EGFR遺伝子変異陽性の患者ではGC-P群の85%がEGFR-TKIの投与を受け、このうちエルロチニブは79%と83%に投与されていた。

 一方、EGFR野生型のサブグループでは有用性は示されなかったが、不利益も認めなかった。PFS中央値はGC-E群6.7カ月、GC-P群5.9カ月、ハザード比0.97(95%信頼区間:0.69−1.36)だった(p=0.8467)。奏効率はGC-E群26.1%、GC-P群19.4%だった。OS中央値はGC-E群14.9カ月、GC-P群12.2カ月、ハザード比0.77(95%信頼区間:0.53−1.11)だった(p=0.1612)。

 またEGFR野生型の患者では、ERCC1遺伝子がIHC法で陽性の患者でOSの有意な改善がみられ、PFSも改善する傾向がみられたことから、ERCC1がバイオマーカーとなる可能性が示された。ただし、この試験ではERCC1遺伝子陽性の患者数は計37人と少なかった。

 治療に関連するグレード3以上の有害事象は、GC-E群の57%、GC-P群の49%に発現し、治療に関連する重篤な有害事象はそれぞれ16%と22%に発現した。治療に関連する有害事象により治療を中止したのは、GC-E群2%、GC-P群5%で、忍容性は良好と考えられる結果だった。

 Mok氏は「化学療法にエルロチニブを加えるレジメンは、EGFR遺伝子変異の状態が不明の患者にも治療選択肢となると考えられる」と結んだ。