非小細胞肺癌(NSCLC)でエルロチニブまたはゲフィチニブに獲得耐性を得た患者を対象として、afatinibセツキシマブの併用療法を検討したフェーズ1b試験において、強い前治療やEGFR遺伝子の二次変異であるT790M変異の有無に関わらず、有望な奏効率と無増悪生存期間(PFS)が示された。9月28日から10月2日までウィーンで開催されている第37回欧州臨床腫瘍学会(ESMO2012)で、米Memorial Sloan-Kettering Cancer CenterのYelena Y. Janjigian氏が発表した。

 EGFR/HER1、HER2などのErbBファミリー全体を不可逆的に阻害するafatinibと、抗EGFRモノクローナル抗体のセツキシマブを併用し、EGFRを二重に阻害すると、T790M変異を有するトランスジェニックマウスではほぼ完全な腫瘍の縮小が認められる。Janjigian氏らは、エルロチニブまたはゲフィチニブに獲得耐性を示すNSCLC患者に対し、afatinib 40mgとセツキシマブ500mg/m2を2週毎に投与し、有望な結果を得たことを報告している(ASCO2011、抄録番号7525)。

 今回Janjigian氏らはコホートを拡大し、afatinibとセツキシマブの併用により、NSCLC患者のエルロチニブまたはゲフィチニブに対する獲得耐性を克服できるとする仮説をたて、米国とオランダで非盲検、多施設共同のフェーズ1b試験を実施し検証した。
 
 対象は、EGFR薬剤感受性変異を認める、またはEGFR-TKIでRECIST基準に基づく奏効または安定状態(SD、6カ月以上)が得られ、最終的な全身療法がゲフィチニブまたはエルロチニブ、獲得耐性を認めた時点で生検が行われた(可能な場合)などの基準を満たす患者とした。主要評価項目はRECIST v1.1による奏効とPFSとし、4、8、12週時とその後は8週毎に画像で評価した。

 計100人(年齢中央値59歳、女性72%)が登録され、前治療のエルロチニブまたはゲフィチニブの投与期間中央値は1.6年、前治療で化学療法が行われた患者の割合は75%だった。エクソン19の欠失変異は63%、エクソン21のL858R変異は32%に認められた。

 T790M変異の有無でみると、分類不能だった5人を除き、T790M変異を有する患者(T790M+群)は53人(同57歳、76%)、同変異を認めない患者(T790M−群)は42人(同60歳、69%)となり、前治療のエルロチニブまたはゲフィチニブの投与期間中央値はそれぞれ1.6年と1.5年、前治療で化学療法が行われた患者の割合は77%と71%だった。エクソン19の欠失変異はそれぞれ62%と71%、エクソン21のL858R変異は34%と29%に認められた。

 100人の治療期間の中央値は4.7カ月(範囲:3日−21カ月以上)で、多く観察された有害事象は、発疹(97%)、下痢(71%)、疲労感(61%)、悪心(53%)などで、このうちグレード3以上の事象はそれぞれ18%、7%、9%、3%だった。投与を中止した理由の内訳は、増悪63人、有害事象19人、その他5人だった。

 最大耐用量(MTD)で投与した96人において、部分奏効(PR)は30%で得られ、奏効期間中央値は8カ月、PRとSDを合わせた臨床的有効率は75%となった。

 このうちEGFRの野生型またはT790M変異の状態が不明だった4人を除き、T790M+群の53人とT790M−群の39人では、PRはそれぞれ32%と28%で得られ、奏効期間中央値は6.4カ月と9カ月となったが、PRとSDを合わせた臨床的有効率は81%と64%だった。

 この試験のPFS中央値は4.7カ月となった。
 
 Janjigian氏は「腫瘍の縮小ならびにこの併用療法でも最終的に増悪するメカニズムの解明に向け、取り組みを続けている。afatinibとセツキシマブの併用療法はさらに探求する必要がある」と話した。