EML4-ALK融合遺伝子を保有する非小細胞肺癌(NSCLC)患者を登録し、選択的ALK(未分化リンパ腫キナーゼ)阻害薬CH5424802を投与するフェーズ1/2試験を行っているがん研究会がん研有明病院の西尾誠人氏らは、有効性と安全性の評価を目的とするフェーズ2部分で、全奏効率85%という好結果を得た。中間解析結果の詳細は、9月28日から30日にオーストリア・ウィーンで開催されている欧州臨床腫瘍学会(ESMO2012)で発表された。

 EML4-ALK融合遺伝子は、細胞内骨格タンパク質をコードするechinoderm microtubule associated protein-like4(EML4)遺伝子と、受容体型チロシンキナーゼをコードするALK遺伝子が染色体転座により融合したもので、in vitro実験や動物実験により癌の発生と関連づけられている。NSCLC患者の一部(3-5%)はこの融合遺伝子を保有する。

 CH5424802は経口投与が可能なALK阻害薬で、西尾氏らは、ALK融合遺伝子陽性のNSCLC患者を対象とするフェーズ1/2の用量漸増フェーズ1部分で、空腹時投与と食後投与の両方において忍容性を確認、フェーズ2で用いる用量を、300mgを1日2回と決定していた。

 フェーズ2部分の主要評価指標は、独立評価委員会の判定による客観的奏効率に設定されている。

 フェーズ2に登録されたのは、ALK融合遺伝子を保有する進行性または転移性のNSCLCで、ECOG-PSが0/1で全身状態は良好、化学療法歴はあるがALK阻害療法を受けたことのない46人。進行が見られるまで、または忍容できない毒性が認められるまで、CH5424802の投与を継続した。

 登録された46人の年齢の中央値は48歳、男性が22人(48%)、女性が24人(52%)で、喫煙歴無しが59%、現在喫煙者は2%だった。全員が腺癌で、過去に適用された化学療法が1種類だった患者が16人、2種類は12人、3種類以上が18人いた。

 研究者による評価では、2週から46週の追跡で、完全奏効が3人、部分奏効が36人、安定が5人、進行が1人、評価不能が1人(安全性上の問題により早期に治療を中止したため)となり、全奏効率85%(95%信頼区間:71.1-93.7)を達成。中間評価後も40人が治療を継続していた。

 程度には差があるものの、全員が腫瘍の縮小を経験し、多くが治療開始から1カ月以内に有意な腫瘍縮小を示した。

 忍容性は高く、有害事象はほとんどがグレード1-2だった。10%以上の患者にみられた治療関連有害事象は、味覚異常(14人、30%)、AST値の上昇(13人、28%)、発疹(11人、24%、うち2人がグレード3)、便秘(11人、24%)、ALT値の上昇(10人、22%、1人がグレード3)、血中クレアチニン値上昇(10人、22%)、好中球減少症(8人、17%、2人がグレード3)、血中ビリルビン値の上昇(8人、17%)、血中クレアチンホスホキナーゼ値の上昇(7人、15%、2人がグレード3)など。

 クリゾチニブ投与患者には治療関連の眼疾患が少なからず見られるが、CH5424802投与群では、眼のかすみを訴えた患者が1人、視力障害が1人、硝子体出血が1人に留まり、グレード3と判定された患者はいなかった。

 消化管の有害事象も少なく、悪心(6人、13%)、下痢(2人、4%)、嘔吐(1人、2%)のいずれも、グレード1または2だった。

 治療関連有害事象によって用量削減が必要になった患者はいなかった。治療関連の有害事象により治療中止を余儀なくされた患者は3人(硬化性胆管炎、間質性肺疾患、腫瘍からの出血)存在した。

 CH5424802は臨床的に意義のある抗腫瘍活性を示し、全奏効率は85%になった。忍容性も高かった。