転移性腎細胞癌に対するテムシロリムス投与は、Poorリスクに対するファーストライン治療だけでなく、Good、Intermediateリスクに対するセカンドライン治療以降でも有効性が期待できる結果が示された。スペイン7施設から患者を登録した後ろ向き観察研究の結果、明らかになった。9月28日からウィーンで開催されている第37回欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で、スペインHospital Universitario Central de AsturiasのA.L. Ruiz氏が発表した。

 テムシロリムスは、Poorリスクの転移性腎細胞癌に対するファーストライン治療として、インターフェロン-αと比較して有意に予後を改善することが、フェーズ3試験の結果から示されている。さらに最近では、血管増殖因子阻害薬(抗VEGF薬)で進行してしまった、Poorリスク、あるいはGood、Intermediateリスクの患者に対して、セカンドライン治療以降での投与でも予後を改善するという報告がいくつかなされている。

 そこでRuiz氏らは、後ろ向き観察研究を行った。目的は、2007年から2012年に、スペイン7施設を受診した113人を登録し、実地臨床におけるテムシロリムスの効果と安全性についての検討とした。

 対象は、年齢62歳(中央値)、男性70%、腎摘除術施行例は74.3%で、淡明細胞癌73.5%、非淡明細胞癌21.2%だった。PSが0-1だったのは56.7%、PS 2以上は43.2%で、テムシロリムスがファーストライン治療だったのは48.7%、セカンドライン治療だったのは23.9%、サードライン治療以降だったのは27.4%だった。

 解析の結果、Motzerの基準でGoodリスクだったのは7.1%、Intermediateリスクだったのは38.4%、Poorリスクだったのは54.5%だった。Motzerの基準に2カ所以上の転移の有無を加えたmodified Motzer基準では、Goodリスクは4.0%、Intermediateリスクは25.7%、Poorリスクは70.3%だった。

 効果については、部分奏効が17.7%、病勢安定が42.5%で、臨床的利益率は60.2%だった。病勢安定例(48例)のうち、3カ月以上SDが得られたのが52%で、31%は6カ月以上の病勢安定が得られていた。

 部分奏効が得られたグループのPFSは9.9カ月(中央値)で、病勢安定が得られたグループの7.0カ月よりもさらに良好だった。

 対象者全体のPFSは3.4カ月(中央値)。サブグループに分けて検討したところ、Motzer基準でGoodリスクだった場合のPFSは7.1カ月で、Intermediateリスクの3.4カ月、Poorリスクの2.8カ月に比べて良好だった。

 テムシロリムスがファーストライン治療だった場合のPFS(中央値)は3.0カ月、セカンドライン治療だった場合は5.6カ月、サードライン治療以降だった場合は4.8カ月だった。

 腎摘除術を受けていないグループのPFS(中央値)が2.9カ月だったのに対し、腎摘除術施行例のPFSは4.4カ月だった。登録時LDH値が高値だったグループのPFSは1.9カ月だったのに対し、低値だったグループのPFSは5.0カ月、PSが2以上だったグループでは2.8カ月だったのに対し、PSが1以下だったグループでは5.7カ月だった。

 淡明細胞癌のグループのPFS(中央値)は3.4カ月、非淡明細胞癌では4.3カ月だった。さらに非淡明細胞癌を詳細に検討した結果、乳頭状腎癌(6人)では14.2カ月、色素嫌性腎癌(6人)では3.4カ月、肉腫様型腎癌(7例)では6.7カ月だった。

 安全性については、少なくとも1つ以上の有害事象が見られたのは82%で、対象者の10%以上で見られた有害事象のうち、グレード3/4の割合は、貧血が4%、無力症が11%、口内炎が4%、発疹が1%、高血糖が3%だった。有害事象により減量が必要だったのは13%、治療中断となったのは8%だった。

 これらの結果からRuiz氏は、「3割に6カ月を超える奏効が得られており、高い効果が得られる患者像を見いだすため、効果予測マーカーの同定が求められる」と締めくくった。