転移性腎細胞癌に対するアキシチニブ投与において、投与後の血圧の変化は効果と関連する可能性が示されている。血圧は測定方法により違いが大きいことから、今回、ファーストライン治療としてアキシチニブを投与した転移性腎細胞癌患者を対象に、24時間血圧測定と家庭血圧測定、診療所血圧測定の違いを検討した結果、いずれの測定法でも同等な結果が得られることが示された。9月28日からウィーンで開催された第37回欧州臨床腫瘍学会(ESMO2012)で、ドイツのHannover Medical SchoolのV. Grunwald氏が発表した。

 現在、未治療の転移性腎細胞患者に対するアキシチニブ投与の安全性と有効性を検討するフェーズ2試験が進められているが、この試験では24時間血圧測定を行っている。今回、Grunwald氏らは、このフェーズ2試験において、24時間血圧測定とともに、家庭血圧測定と診療所血圧測定を行い、それぞれの血圧値を比較した。

 家庭血圧測定は、アキシチニブ服用前に患者自身が毎日行うものとし、診療所血圧測定は、登録時と最初の2サイクル(28日間を1サイクル)の1日目、15日目に実施するものとした。24時間血圧測定は登録時と1サイクル目の4日目、15日目に行った。

 フェーズ2試験に登録されたのは未治療の転移性腎細胞癌患者213人。平均年齢は61歳、男性は67%だった。全患者の無増悪生存期間(PFS)中央値は14.5カ月。登録時、コントロール不能な高血圧(140/90mmHg以上)患者はいなかったが、試験中、全てのグレードの高血圧は63%に見られ、うちグレード3は29%、グレード4、5はいなかった。

 診療所血圧、家庭血圧について、それぞれの拡張期血圧を比べたところ、1サイクル目の1日目の平均拡張期血圧(170人のデータ)は、診療所血圧が75mmHg、家庭血圧が76mmHg、1サイクル目の15日目(200人のデータ)においてはどちらも83mmHgだった。

 24時間血圧測定と診療所血圧による拡張期血圧の測定結果を比較したところ、登録時(69人のデータ)は24時間血圧が73mmHg、診療所血圧が76mmHg、1サイクル目の15日目(63人のデータ)では24時間血圧、診療所血圧ともに84mmHgだった。

 24時間血圧測定と家庭血圧測定による拡張期血圧の測定結果を比較したところ、登録時(46人のデータ)は24時間血圧が72mmHg、家庭血圧が76mmHg、1サイクル目の15日目(59人のデータ)ではともに84mmHgだった。

 さらに、診療所血圧測定と家庭血圧測定による拡張期血圧値の差が10mmHg超だった患者は、1サイクル1日目(170人のデータ)では24%、1サイクル15日目(200人のデータ)は17%だった。

 収縮期血圧についても同様の傾向が確認された。また、特定の血圧測定法で血圧値が高いあるいは低い傾向を示しやすいといった結果は見られなかった。

 Grunwald氏は、「家庭血圧値と診療所血圧値はほぼ同じで、アキシチニブ投与時の血圧測定法としてどちらも有効であることが示された」とまとめた。一方、測定法によって血圧値が大きく異なる患者はいたものの、それは測定法の違いによるものではなく、測定時間帯の違いなど、そのほかの要因による可能性があると指摘した。