Poorリスクの転移性腎細胞癌に対するテムシロリムス投与は、実地臨床においても安全で有効であることが確認された。年齢や前治療の有無、組織型にかかわらず同等な効果が得られていた。STARTORレジストリーの解析から明らかになったもので、9月28日からウィーンで開催された第37回欧州臨床腫瘍学会(ESMO2012)で、ドイツPfizer Pharma社のMuller U氏が発表した。

 STARTORレジストリーは、2008年から開始された観察研究で、テムシロリムス投与を受けた転移性腎細胞癌患者を登録している。研究の目的は実地臨床におけるテムシロリムスの安全性や有効性の検討としている。

 現時点で455例が登録され、中間解析として430例が検討可能だった。

 検討の結果、男性68.7%で、65歳以上の患者は60.9%。体重(中央値)は75.0kgで、Karnofsky Index(中央値)は80.0だった。組織型は、75.3%が淡明細胞癌で、乳頭状腎癌10.9%、色素嫌性型腎癌が2.6%だった。

 腎摘除術施行例は82.3%、R0切除が得られたのは69.4%、転移巣数は中央値2.0、平均2.3(範囲0.0-6.0)だった。転移部位は、肺が67.4%、リンパ節が48.1%、骨35.1%、肝臓23.3%、副腎12.6%、対側腎7.0%、中枢系5.3%だった。最初の転移が発見されてからの期間は6.0カ月(中央値)、平均15.9カ月だった。血清LDH値が300 IU/Lを超えていた患者の割合は25.9%だった。

 テムシロリムスがファーストライン治療だったのは42.1%、セカンドライン治療だったのは22.6%、サードライン治療だったのは17.0%。4次治療以降だった患者も18.4%存在した。治療期間中央値は13.0カ月、平均20.6カ月で、用量調整を行った患者の割合は46%だった。治療を中断した患者は65.2%おり、進行例が54.7%、有害事象による中止が11.9%だった。

 有効性の検討が可能だったのは348例で、完全奏効が得られたのは0.6%、部分奏効例11.8%、病勢安定例38.5%で、臨床的有効率は50.9%だった。

 全患者の無増悪生存期間(PFS)中央値は5.0カ月で、65歳以上のグループでも5.2カ月だった。ファーストライン治療だった患者(181例)のPFS(中央値)は5.4カ月、セカンドライン治療以降だった患者(249例)でのPFSは4.7カ月だった。登録時血清LDH値が上昇していた241例のPFSは2.6カ月、LDH値が正常だった84例では5.2カ月で、LDH高値例は予後が悪く、独立した予後予測因子であることが示された。

 全生存期間(OS)の中央値は12.7カ月で、ファーストライン治療だった患者では11.2カ月、セカンドライン治療以降だった患者では13.9カ月だった。ファーストライン治療としてテムシロリムス投与を受けた患者のOSはフェーズ3試験で得られているデータと同等だった。

 安全性については、全患者(430例)における全てのグレードの有害事象の発生率が70.5%、重篤な有害事象の発生率が40.2%だったのに対し、65歳以上のグループ(262例)における発生率はそれぞれ70.2%、11.1%だった。有害事象の発生率は同等で、高齢であっても重篤な有害事象の増加傾向は認められなかった。

 これらの結果からMuller氏は、実地臨床においてもPoorリスクの転移性腎細胞癌に対するテムシロリムスは有効で安全であると締めくくった。